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インタビュー

男性ソロ・シンガーが不作なんて言わせないわ!とばかりに男前たちを緊急チェック!

BRIAN McKNIGHT
 成熟した大人の色香を漂わせる男性シンガーといったらブライアン・マックナイト(兄のクロードはテイク6のメンバー)。NY出身の彼は、92年のデビューから現在まで、ヴァネッサ・ウィリアムスとのデュエット“Love Is”を皮切りに“Back At One”“Anytime”などなどの傑作バラード・ヒットを持つほか、数々のアーティストのヒット曲を手掛ける優れたソングライター/プロデューサーでもある。誠実な歌詞、美しい旋律を完璧に歌いこなすシルキーなヴォーカルは〈真面目で良識ある紳士〉のイメージが強いが、いままでにもパフ・ダディ&メイス、セント・ルナティックス~ネリーといったヒップホップ勢とのコラボレートや、前作『Superhero』での思い切ったロック的アプローチなど、リスナーをビックリさせるようなことも涼しい顔でやってのける、意外にお茶目(?)な人だ。最新作『U Turn』はそんなさまざまな表情が見られるヴァラエティー豊かな一面と、唸らずにはいられない極上バラードに感嘆しきり……という入魂の内容になっている。(ともえ)

TYRESE
 鍛えぬかれたしなやかな肉体美にウットリ、押し迫る歌声にさらにウットリ……なタイリースはモデルやタレント、俳優としても大いに活躍する24歳。LAのワッツ地区に生まれた彼がその才能を世に知らしめたのがコカコーラのCM出演。バスのなかでヘッドフォンをしながら歌い出す……という内容のそれを見て、20社ものレコード会社が契約を申し込んだというのはあまりにも有名な話だ。そして、99年にアルバム『Tyrese』でデビュー、まさにコーラのように(?)清涼感溢れる端正なマスクと、シングル“Sweet Lady”のビッグ・ヒットでたちまち世の女性たちをトリコにした。TVドラマ「Moesha」で共演したブランディとの仲を噂されるなんてことも……。それはさておき、モデルやタレントである前にタイリースはシンガーなのだ、と強烈に印象付けたのが3作目となる最新作『I Wanna Go There』。レーベルをRCAからJへ移し、いままでの爽やか青年のイメージから一転、ずばりメイク・ラヴをテーマにしたセクシャルな曲を次々に歌い上げる彼の歌声は、十二分に説得力のあるものだった。(ともえ)

TANK
 いろんなところが硬そうな名前を持つタンクことダレル・バブズは、その名に違わぬ鋼の肉体と屈強な歌唱力を併せ持ったシンガーだ。もともとゴスペルを歌っていた彼はジニュワインのツアーでバック・ヴォーカルを務め、ブラックグラウンド(アリーヤやティンバランドを擁するマネージメント/レーベル)に見初められて契約。セルフ・プロデュースした2000年のデビュー・シングル“Maybe I Deserve”がスマッシュ・ヒットを記録し、さらには翌年に満を辞してリリースした『Force Of Nature』がいきなり全米チャート初登場1位という快挙を成し遂げ、一気に時代のオトコに成り上がった。この人の強みはヴォーカリストのみならずプロデューサーやソングライターとしての顔も持っているところで、これまでにアリーヤやデイヴ・ホリスターらを手掛けている。そういう意味ではブライアン・マックナイトに近いし、そのヴォーカル面の相似も含めればそのままR・ケリーの椅子を狙える最強の存在でもある。流通の関係もあって日本では話題になりそびれたセカンド・アルバム『One Man』は前作を超える傑作で、ビートのスタイルに応じてさまざまな唱法も使い分ける器用さをアピールしていた。まだまだ底知れない何かを持ってそうで、そんなところにも期待大、なのです。(ひろみ)

JAHEIM
 いかにもなBボーイ・ファションに身を包んでいながらも、歌い口は決して今風じゃない。そんなギャップも魅力のひとつになっているのが、このジャヒーム。その燻し銀のヴォーカルは、サム・クックやマーヴィン・ゲイなどのオールド・ソウルと、2パックやモブ・ディープなどのヒップホップの双方に等しく親しむことで生まれてきたものらしく(ゴスペルを本格的に通過してないのもデカい)、古めかしいというより真にタイムレスなものだと言ったほうがいいかも知れない。アマチュア時代から実力を認められ、98年にケイ・ジーと契約。ルーサー・ヴァンドロスの再来とも囁かれたほどの圧倒的な歌唱力、オールド・ソウルの芳香を纏った歌の運び、危険な香りのするワルでゲットーなアティテュード……そんなソウル感が詰め込まれた“Could It Be”でデビューしたのは2001年のこと。同年のファースト・アルバム『Ghetto Love』は200万枚以上のセールスを上げ、昨冬の2作目『Still Ghetto』では早くも円熟味すら漂わせる。流行り廃りに関係なく愛したい、そして愛されたいR&Bの神髄よ。(ひろみ)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年05月01日 13:00

更新: 2003年05月01日 18:48

ソース: 『bounce』 242号(2003/4/25)

文/轟 ひろみ、佐藤 ともえ

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