インタビュー

FIRE BALLの名の下に集まった4つの火の玉

CHOZEN LEE
 変幻自在なフロウと声を武器に、DJとしてもシンガーとしても卓越したスキルを誇るハマの伊達男。勢いとアイデアに富み、エンターテイメント性に溢れたステージングとMCで現場を常に盛り上げる。だが、ただ楽しませるだけではなく、聴くものに前向きで意識の高い言葉とメッセージを確実に届けていくそのスタイルに〈レゲエDJ〉としてのあるべき姿を見る。ソロとしての課外活動も頻繁だが、札幌を中心に全国的にもブレイクしたKeycoの“SPIRAL SQUALL(DANCEHALL MIX)”での客演はまだ記憶に新しいところ。また、Home Grown『Home Grown』に収録された“It's Not Impossible”の切れ味には要注意!

TRUTHFUL
 以前からのファンにとっては〈STICKO〉の呼び名や、MIGHTY CROWNのMCとしてのほうが馴染み深いか。その低音を響かせた野性味あるフロウがクルー最大の男汁を醸し出し、受け継がれるレゲエのソウル、そしてそれを産んだジャマイカの男たちの体臭と思考すら感じさせるルードな、しかし健気でスピリチュアルな雰囲気が彼の魅力。DJだけでなく歌パートも担当し、特に海外経験で培われたナチュラルな英語の発音による歌声も美味。オーセンティック・スカ・バンド、THE SILVER SONICSとのコラボ盤『The Silver Sonics meets Fire Ball』にはCRISSと共に参戦。その抜群の歌心が全開っす!

JUN 4 SHOT
 独特のガラ声をもってソロとしても活躍するダンスの火点け役。経験に裏打ちされたステディーかつ自由でオリジナルなフロウは安定度抜群。レゲエDJという伝統芸の修練・鍛練も怠らない。その確かな実力を基に繰り広げられるユニークな歌世界が耳を惹くが、印象的なのはなによりもそのポジティヴな姿勢。MIGHTY CROWNのMASTA SIMON&SAMI-T兄弟とは親戚で、SAMIと共に横浜・中華街に構える〈ラガ・チャイナ〉の店鋪プロデュースに勤しんだりも。ヒップホップとレゲエのコラボレーションが話題のコンピ『DANCEHALL PREMIER』には単身参加し、魅力爆発の激ヤバ・チューンを披露!

CRISS
 クルーでただ一人の、そして日本のレゲエ・シーンでも貴重な美声シンガーであるCRISSは、切なくスウィートなその歌声とポジティヴな姿勢を併せ持った希有な存在。起伏に富んだ楽曲を軽やかに歌い上げていくそのスタイルにはダンスホールのマナーが凝縮している。もはや奇跡的に集合/組織化されたとしか言えないセンスと才能の結晶=FIRE BALLであるが、彼の歌声とポジションがクルー全体の表現スタイルにもたらした影響はデカい。ソロとしてはハマのヒップホップ/レゲエ勢がしのぎを削った『BAY SQUAD』に参加しており、今作に収録された号泣メロウ・チューン“Rising”は永遠のストリート・アンセム!


CRISS“Rising”を収録したコンピ『BAY SQUAD』(Bay Ride)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年07月03日 11:00

更新: 2003年07月31日 18:46

ソース: 『bounce』 244号(2003/6/25)

文/八幡 浩司

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