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インタビュー

『Dangerously In Love』に溶け込んでいるクラシック・ソウルのエッセンス

 サントラ『Austin Powers In Goldmember』に収録されたソロ曲“Work It Out”が、モロに“Rock Steady”や“Spanish Harlem”を歌っていた70年代初頭のアレサ・フランクリンを思わせたビヨンセ。それだけに、ソロ・アルバムは相当シブいモノになるとの噂もあったのだが……その予想は半分当たり。先行シングル“Crazy In Love”はシャイ・ライツの“Are You My Woman”をループしたものだが、シブくてソウルフルだけどハデでフロアライクな好曲になっている。同様に『Dangerously In Love』には70年代ソウルの旨味が詰め込まれているけど、70年代ソウルとはいっても、ニュー・ソウル勢など再評価の盛んな部分を微妙に避けているのがポイント。代わりにビヨンセが選んだのはギトギトに濃厚な女汁/男汁系。“Naughty Girl”でドナ・サマーの“Love To Love You Baby”を妖しく引用したり、“Be With You”ではブーツィーズ・ラバー・バンドの“I'd Rather Be With You”とシュギー・オーティスの“Strawberry Letter 23”のメロを歌い込んだり……ジットリした黒さをしっとりスウィートに聴かせている。なお、シュギー・オーティスに関してはもう1曲“Rainy Day”ネタの“Gift From Virgo”も収録。他にも、アイズレー・マナーのメロディーが艶めかしい“Speechless”(しっかりギターも咽び泣く)や、ロバータ・フラック&ダニー・ハサウェイの“The Closer I Get To You”をルーサー・ヴァンドロスとデュエット・カヴァーしていたり、なかなか濃厚だ。なお、例外的な80年代モノ=デバージ“I Like It”の詞を引用した“That's How You Like It”なんてのも興味深い。

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年07月03日 12:00

更新: 2003年08月14日 19:05

ソース: 『bounce』 244号(2003/6/25)

文/狛犬

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