BACK DROP BOMB(3)
とにかくいろんな人がいますからね
こうだ!と思ってたことが簡単にひっくり返ってしまう音楽のマジックを僕らはすでに見聴きしている。しかし、嗅覚に優れた彼らが道を踏み外すことなんてあり得ない。
「バランス感覚みたいなことは考えないですよ。僕はビカビカでバカスカなUSメジャーのサウンド・プロダクションも好きだし、極端でありつつ、そこまで遠くない方法論や考え方をしてるから」(白川)。
もしかして、追いかける世の中の速度が偶然一致することもあったりするのだろうか?
「ああ、それはそうですね。そもそもロックもダンス・ミュージックだったと思うんですけど、最近のロックがまた、そういうただ単純に踊ったり、楽しんだりするためのものに近くなってるのかなって思うんです。ただし、過去の焼き直しかって言うとそうではなくて、やってる人が年を追うごとに聴いてきた音楽がちらちら見えたりしてて。逆に打ち込みの音楽は、前よりユルいペースで動いてるかな、と。そういうときって、耳の方向を変えると、そういう原始的な音が新鮮に聞こえたりするじゃないですか。そういう流れって常にありますよね」(白川)。
「ラプチャーなんかも、おそらくは同じ時期にそういうことを考えてたのかもしれないですね。俺らは意識したわけでもないし、曲もぜんぜん違うんだけど、やり方が……音色の作り方だったり、ドラムの入れ方がちょっと被ってるかもしれない」(小島)。
もうおわかりのように、彼らが楽しみながら逃げている相手とは音楽を消費してしまう自分であり、リスナーである。そこから如何にして逃れていくか、彼らの眼差しはあらゆるところに向けられている。
「新しいことをやろうという人もいるし、聴き手に届くようにやっていく人、そこに留まり続けようって人もいる。とにかくいろんな人がいますからね……」(白川)。
「メッセージ的なことを言うなら、僕らの作品は、そういったいろいろなものを一気に受け入れられるように〈自然〉になっていて、答えはあとで考えてほしいというか……」(小島)。
「それによって自分でも探しますしね。その先はないかもしれないし、あってもなくてもいいんじゃないかっていう程度で……だから、(バンドを)ずっとやってるのかもしれないですしね」(白川)。
どこにも寄りかからない彼らは、ここにBACK DROP BOMBの最高にして孤高の傑作アルバムを完成させた。
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