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インタビュー

So Solid Crew

これぞUK版〈成りあがり〉……!? わずか数年で強大な帝国を築き上げたガラージ・マフィア、ソー・ソリッド・クルーが新しいサウンドを轟かせて帰ってきたぜ!!

ビッグなオーガニゼーション


 テムズ川を挟みロンドンの半分を占めるサウス地区。そのサウス・ロンドンの貧しいコミュニティーから生まれたソー・ソリッド・クルー(以下SSC)は、反社会的な行動や数々の危険なゴシップなどにより、国会議員からも名指しで批判されるほど悪名高き存在。そんな状況を尻目に2001年のファースト・アルバム『They Don't Know』はプラチナに輝き、同年のMOBOアワード、ブリット・アワードを獲得し、UKガラージがアンダーグラウンドに潜ったいまもオーヴァーグラウンドなシーンの第一線に生き残る、数少ない人気ガラージ・アクトのひとつだ。クルーの支柱、メガマンは活動当初のことをこう振り返る。

「俺とG・マン、マック、PDSが創設メンバーって感じでさ、2MCとDJで最初は始めたんだ。その後すぐにロミオが入って……どんどんメンバーが拡大した。俺らは初めから戦略を考えててさ、最初はDJが自分たちのプロモーションをするためにクラブをブッキングしたり、短い時間でできるだけ自分たちの曲が聴かれるよう努めてたんだ。98年から2000年の間はプロモーションのためにクラブからクラブへと渡り歩いてたよ」。

 彼が言うようにSSCが認知されはじめた98年からすでに5年。その間、浮き沈みの激しいこの世界の波にほとんどのアーティストが呑み込まれていくなかで、メンバー個々の才能を伸ばし確実にステップ・アップ。そして何よりも見逃すことのできない、メガマンの的確な状況判断と先を見据えた戦略が、クルーに業界で生き抜くためのたくましい生命力を漲らせた。

「UKではアンダーグラウンドがビッグだ。だから、アンダーグラウンドを攻める前にメインストリームを攻めても、リスペクトを100%得られないとわかってたんだ。アンダーグラウンドに入り込んで、DJをやったり、海賊放送をやったり、ミックスCDに曲が入ったり……なんでもいいや、そういうことをやってから、メインストリームにそれを持っていく形にすれば、〈これが俺らのバックグラウンドだ!〉ってことが言える。それを俺らはやってきたんだ」。

 そうこうしているうちに下は11歳(!)から上は28歳までメンバーは総勢35人(!!)にまで増殖。自分らの海賊放送局を持ち、会社は6つ、マネージメントやパブリッシングも自分たちで運営し、単なるアーティストの域は越え、メガマンを頂点としたひとつの企業……しかも優良企業といっても過言ではない躍進ぶりを見せつける。

「ひとつのビッグなオーガニゼーションなんだよ。ソー・ソリッドを一人一人の顔を集めたもんだと考えずに、ひとつのネーム・ブランドとして考えたらいい。そのネームが付いて出たものは、すべて信用のできるアーティストなんだぜ。バッド・ボーイみたいなもんだ。ロッカフェラ、マーダー・インクも同じさ。そこからのリリースだったら〈聴きたい〉〈プレイしたい〉って思うようなオーガニゼーションはいろいろあるだろ? それを俺はソー・ソリッドでやりたいんだ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年12月11日 12:00

更新: 2004年01月29日 18:42

ソース: 『bounce』 249号(2003/11/25)

文/青木 正之