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インタビュー

アアアアァァァーーーーー!!! 怪人JDの襲来に気をつけろ!!

 ソー・ソリッド・クルーのサウンドを劇的に変えたドレッディことJDは、その名のとおりジャマイカンの血も引くバーミンガム出身の28歳。軍団への加入は2年前、クルーの全英制覇後だったが、「自分のビートを聴かせたら〈ワオ!〉ってなって、すぐにリサ・マフィアとスタジオに入って……彼女とやった最初の曲“All Over”が全英2位になったんだ」とすぐに頭角を表していく。その後はSSC本隊のビートはもちろん、ミスティークやアシャンティ、ミス・ダイナマイトらのプロデュース/リミックスを手掛けて現在に至るわけだが、SSCと出会う前はサウンドシステムを率いてDJやセレクターも務めていたという経歴の持ち主。そんな彼だからこそのハイブリッドなサウンドがSSC本隊の方向性すら変えていったようにも思えるのだが、JDはやんわり否定する。

「ソー・ソリッドは2作目でちょっと自分たちのルーツに戻ったんだよ。だからオレの参加したタイミングが良かったのかもね。オレのビートは彼らがやりたかったビートだったのさ」。

 そして、今度はいきなりソロ・アルバム。作り出したのは「ちょっと前」とのことで、「時間がかかるとエナジーとかヴァイブがスポイルされる。例えば“Signal”と“Fear Me”は同じ日に作ったんだけど、オケとリリックを作って録音して、2曲で6時間くらいだ」と言い放ち、「オレがストレスを感じてたら、それが音に出ちまう」と語るとおりなら、今作は実にノビノビ作られたに相違ない。ひたすらアゲまくる穴の開いたラップ、ダイナミックにブン殴り、蹴っ飛ばし、高笑いするがごときハイパーなビート……しかも『Aaarrgghhh!!!』という振り切れたタイトル! いわく「店で見た時に可笑しいだろ(笑)」という理由らしいが、中身を如実に物語りまくったタイトルじゃないか。UKらしい雑食的な胃袋で現行のUSヒップホップ~レゲエを食い散らかして消化して吐き出したようなサウンド、そしてラップがカッコ良すぎる!

「最近ビーニ・マンにトラックを作った。今後はバウンティ・キラーやジェイ・Zとやりたいね。実はもうロッカフェラとはやってて、ビーニー・シーゲルの曲をプロデュースしたり……」と今後も忙しそうな彼。そのあたりの成果がドバッと世に出る前に、まずはこの濃厚な『Aaarrgghhh!!!』で汗だくの絶叫体験を済ませておくべきだろう。

▼JDワークスを一部紹介。


ミス・ダイナマイト“Put Him Out”(Polydor)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年12月11日 12:00

更新: 2004年01月29日 18:42

ソース: 『bounce』 249号(2003/11/25)

文/轟 ひろみ