インタビュー

ノラに通じる(かも?)、世界各地のナチュラル・ウーマンたち

 気取らず、開けっぴろげな〈私っぷり〉。歌そのものの人懐っこさ。エヴァーグリーンな空気感。ほどよい緊張感を保ったサウンドのなかに流れるリラクシンなムード──そんな稀有な才能を持ったノラ・ジョーンズの感性(とアンテナ感度)に通じる、現在のカッコイイ女性シンガーたちを探してアラウンド・ザ・ワールド!!

 まずはセンサーがビビビッと好反応を示すのはフランス。トップモデルとしても活躍するカーラ・ブルーニのデビュー作『Quelqu'un M'a Dit』はノラと比較されることもしばしばで、じわじわとロングセールスを記録するあたりにも〈歌力〉を感じさせる。夕暮れ時にひとりで佇みたいマドベーゼ族必携アイテムだ。また、同じくフランスを拠点に活動する〈アルジェリアのジョーン・バエズ〉ことスアド・マッシは、フォーキーなサウンドを軸にフラメンコやアラブの節回しを効果的に導入しているのが印象的。一方ご近所に目を移せば、英国トラッド・フォーク界からケイト・ラスビーがケルト圏代表として急浮上。美味しい川魚がたくさん採れそうなミネラル分豊富で澄み切った小川のごときその歌声には、きっとマイナス・イオン効果も望めるに違いない。アルゼンチンのフアナ・モリーナは音響派の文脈で語られることもあるが、どんなアレンジにも耐えうる強固な歌世界がその真ん中にあることを忘れてはいけません。最後は音楽大国キューバから新進気鋭の注目株、ジューサを推したい。デビュー作『Yusa』で聴くことができるキューバ新世代連中との肩肘張らないセッションは、聴き込むほどに味の出るスルメのような味わいだ。

▼文中に登場した作品を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年02月26日 18:00

更新: 2004年03月04日 16:12

ソース: 『bounce』 251号(2004/2/25)

文/佐々木 俊広

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