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インタビュー

混沌のシーンに切り込む、インキュバスの同窓生たち

 90年代初頭。巨大なムーヴメント〈グランジ〉の失速と、クロスするかのように浮上してきた〈ミクスチャー/ヘヴィー・ロック〉という新たな潮流。それ以前にもラップ・ヴォーカルを導入し、多岐に渡る音楽性を持ったバンド作品はそれなりの数がリリースされていたが、その評価は〈CMJチャート〉レヴェルであって、巨大なマーケットを動かすような力にはなっていなかった。だからこそ、メジャー・シーンに対する〈カウンター〉としての魅力溢れる時代であったともいえる。

 そんなパイオニアたちの衝撃波をモロに受けた連中が、インキュバスをはじめとする〈90年代後半組〉。彼らはいずれも97~98年の間にファースト・アルバムをリリース。〈ミクスチャー/ヘヴィー・ロック〉がメジャー・フィールドのド真ん中に位置し、サウンドも確立、まさに〈追い風〉が吹く状況である。しかしそれはシーンの飽和を助長して、2000年を境に停滞を迎える。そして、ヒップホップ/R&B勢がシーンの中心にある現在、彼らはどう戦っているのか? それぞれのアプローチと微妙に異なるポジションを、いま一度検証してみたい。

GODSMACK 『Faceless』 Universal(2003)

  3作目となるアルバム。インディー時代におけるキャリアを反映させた確かな演奏力が、メロディー重視のヴォーカルを引き立てている。緩やかにサビへと向かうその曲調は、クリードをはじめとするモダン・ロック勢ともリンクするところ。日本での過小評価が不思議。

SYSTEM OF A DOWN 『Toxicity』 Sony(2001)

  トゥール直系のダーク&ヘヴィーなサウンドで、インキュバスとは対極に位置するバンド。2枚のアルバム・リリースしかない彼らだが、もはやアメリカでの評価は絶大なものとなっている。ロックの概念を逸するビートでヘヴィー・ロックを鳴らす唯一無二の存在。

LIMPBIZKIT 『Results May Vary』 Flip/Interscope(2003)

  シーンをメジャー・フィールドへ押し上げた当事者による4作目。前作までのアプローチをいったん清算し、ロックが持つ勢いを追求したパワフルな作品。スクリーモを彷彿とさせる楽曲構成も含め、あらたなバンドへ転身を図ろうとする気合いが十分。

ZEBRAHEAD 『MFZB』 Red Ink(2003)

  ファンキー・ビートのオールド・スクール・ミクスチャー・スタイルが、ここ日本で大人気の彼ら。3作目となる本作は、なんとさらにポップ・パンクの要素もプラス。あらゆるタイプの楽曲を散漫に聴かせない勝因は、〈パーティー〉ありきのバンド・コンセプトゆえ。

▼90年代後半にデビューを果たしたバンドのファースト・アルバムを紹介

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年03月04日 13:00

更新: 2004年03月11日 20:15

ソース: 『bounce』 251号(2004/2/25)

文/武山 英丈

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