インタビュー

Twista(2)

シカゴ代表という自負がある

 これまでの長いキャリアの積み重ねがいまの成功をもたらしたわけだが、思えばトゥイスタに対する注目は実は数年前から本国USでは高まっていたようで、いくつかの大物アーティストの作品へのゲスト参加や、あのロッカフェラへの移籍も噂されていたことも有名な話。“Art & Life”ではロッカフェラ勢とのコラボレーションも実現しているが……。

「今回みたいに(ゲスト参加という形での)レーベルを超えたジョイント・プロジェクトは今後もあるとは思うし、ジェイ・Zにも世話になってきたけど、だからといって移籍を考えたりはしないね」。

 なるほど。「意図的かつ自然な流れだった。アーティストとしてリスペクトしている人たちに参加してもらったのと同時に、シカゴの音楽シーンをさらに盛り上げたいという意識もあった」と参加ゲストについて語るように、アルバムでは“Slow Jamz”のヒットに貢献したカニエ・ウェストやR・ケリーを筆頭に、過去作品でも助力しているトキシックなど地元シカゴの人材を主軸に据えている点も目立ち、彼らの存在がアルバムの出来の良さにも一役買っている。これがトゥイスタのスタンスを示す回答であると言えるのかもしれない。

「シカゴに誇りを持っているからこそ、大都市には移ったりしないでシカゴに根ざして活動しているんだ。家族も友達もいるし、オレが音楽面でいいヴァイブを得られるのはシカゴなのさ。将来的に他の街に家を構えるのもいいかもしれないけど、オレはシカゴの音楽シーンをレペゼンするアーティストのひとりとしての自負があるからな」。

 ふむ。その強い気持ちは作品に見事に反映されていると言えるだろうな。アルバム全体のトータル・バランスは一本の筋が通っているように確固たるものだし、豊富なゲスト陣の良い仕事も目立つとはいえ、やはり主役はトゥイスタであると認識させる強烈な存在感がある。それは、どこか強い意志さえも感じさせるほど圧倒的だ。

「オレは音楽という空気を吸うことを、自分の人生の活力、そして原動力にしてこれまで生きてきた。前進するのみさ」。

 キャリア13年。滑らかな舌にますます磨きをかけ、彼は〈舌好調〉に走り続けていく。

▼『Kamikaze』に参加したアーティストの作品を一部紹介

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掲載: 2004年04月15日 12:00

更新: 2004年04月15日 19:20

ソース: 『bounce』 252号(2004/3/25)

文/高橋 荒太郎