いつの間にかヒップホップ・シーンを席巻中の風の街、シカ~ゴ♪
トゥイスタの“Slow Jamz”を手掛け、自身のアルバムも好タイミングで送り出したプロデューサー/ラッパーのカニエ・ウェスト。両者を繋いだのはもちろんシカゴという地縁だ。急激に盛り上がってきたように見えるシカゴ発のヒップホップ・シーンではあるが、かつて日本ではコモンぐらいしか認知されていなかった(トゥイスタがそれに先駆けてシカゴをレペゼンしていたことは強調しとこう)。そのコモンがNY寄りのスタンスをとったように、シカゴ人であることが知られていないダ・ブラット(近作で同郷のLT・ハットンと組んで故郷をレペゼン)、南部のラップ・ア・ロットと契約したドゥー・オア・ダイやジョニーP(シンガー)、スナイパーズ、LAのデス・ロウに身を寄せたダニー・ボーイなどは、地元に確固たるシーンがなかったからこそ当初は他のエリアに活路を見い出したのだろう。が、90年代後半から地元感を押し出した連中も登場してきている。その代表例が、R・ケリーに発掘されたブー&ゴッティ、そして『Kamikaze』にも参加しているトラックメイカーのワイルドスタイルを擁し、かつてはメジャー・ヒットも飛ばしたクルーシャル・コンフリクトだ。後者はトゥイスタと同じく地元にレーベルを設立して後進を育成中。そういったローカル・レヴェルでの活況が現状を生み出したのに加え、カール・トーマスやシリーナ・ジョンソンらR&Bシーンのシカゴ旋風(→こちら)と連動しているのも見逃せない。風はいまシカゴから吹いている。
▼文中に登場したアーティストの作品を紹介
スナイパーズ『Snypaz』(Rap-A-Lot)
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