インタビュー

D12

デトロイトの闇で産声を上げたダーティー・ダズン──世界を吹き荒れるエミネム旋風のなか、着々と力を蓄えてきたD12がいよいよ世界征服宣言!! 3年ぶりのアルバム『D12 World』は6人のエナジーを結集した大作だ!

固い絆で結ばれた仲間たち



「ワッツアップ、ヨー!! ちょっと黙ってくれないかな? 俺様が話そうとしてんだぜ! まったく、誰がリード・シンガーだと思ってんだ!? これからD12のレコーディング過程をこっそり教えてやるぜ!!」(エミネム)。

 2日間で8万人をも動員した初の単独来日公演の成功、興行成績で2週に渡ってNo.1に輝いた主演映画「8 Mile」の大ヒット、同サウンドトラックの洋楽ヒップホップ・アルバムとしては初のオリコン・チャート1位獲得など、それ以前は日本と欧米とでエミネムを取り巻く状況にあきらかに温度差があったけれど、それも2003年の快進撃を経てようやく肉迫してきた印象があるし、秋に通算4作目となるニュー・アルバムを控えた今年、その興奮は一気にピークを迎えることになりそうだ。そして、そんなエミネム一色に染め上げられるであろう2004年を予告する狼煙として機能するのが、前作『Devil's Night』から約3年を経ての、D12のセカンド・アルバム『D12 World』だ。エミネム以下、プルーフ、コン・アーティス、ビザール、スウィフト、クナイヴァの6名からなるD12は、いまとなっては「8 Mile」でエミネムが演じるラビットと彼の仲間たちのモデルとなったグループと紹介するべきなのかもしれない。

「〈8 Mile〉は俺たちを描いたものだよ。まったくの真実に沿ってるわけじゃないけど、俺たちがどんなふうに育ってきたかとか、ヒップホップ・シーンはどんな状況だったかっていう部分は事実なんだ。でも、あの太ったキャラクターは俺じゃないからな」(ビザール)。

「8 Mile」劇中でのラビットたちがそうであったように、固い絆で結ばれたD12はデトロイトでの下積み時代から続く6人の友情の証でもある。当時、誰かが先に成功したら必ず他のメンバーを呼び寄せて共にメインストリームに殴り込みをかけようと誓い合ったというエピソードは余りにも有名だが、その約束の結実こそがエミネムのレーベル=シェイディから第1回作品としてリリースされた2001年の『Devil's Night』になるわけだ。

「そんなに複雑なもんじゃないよ。俺たちはファミリーみたいな感じで集まってるだけなんだ」(エミネム)。

「俺たちは必ず有言実行を守る。それを続けていれば、俺たちは常にタイトな関係でいられるはずさ。そりゃあ納得いかないこともあるけど、それも理解し合ったうえで前に進んでいく。心から互いを思っているからこそ強い結束が生まれ、どんな困難にも共に立ち向かえるんだ」(スウィフト)。

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掲載: 2004年05月20日 16:00

更新: 2004年06月24日 11:38

ソース: 『bounce』 253号(2004/4/25)

文/高橋 芳朗