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インタビュー

AI

2004年のAIは確信させてくれる! 甘い温もりと、熱い涙と、フロアに飛び散る汗を大粒の宝石に変えて詰め込んだような……文字どおり珠玉のアルバム『2004 A.I.』は、さまざまな愛に溢れた堂々たる大傑作だ!!

喋りたいことをそのまま歌にして


「今回のアルバム、本当にヤバイでしょう!? もう、いまだってここでかけたいぐらいよ(笑)」。

 AIが開口一番、いてもたってもいられない面持ちでそう自負してきただけのことはある。昨年のシングル“マイ・フレンド/戦場のメリークリスマス”あたりから歌に込める情感の深さが増していき、今年に入ってからのシングル“After The Rain”のカップリング曲“無限”では自身のアティテュードを色濃く露呈、そして最新シングルの“E.O.”では日本においてはまだまだ希少な〈踊れるメッセージ・ソング〉を鮮やかに提示してくれたAI。いよいよ完成した『2004 A.I.』では彼女の本質的な力量とエクスプレッションとが結実期を迎えており、なおかつ曲単位のコンセプトが明瞭ゆえ、AIが意図したモノや込められたメッセージの意味合いが明快に伝わる、充実度100%の内容となった。わずかな期間で眩いばかりの急成長を遂げたAI、どのような心境の変化があったのだろう?

「Def Jam Japanからデビューするにあたって、まずはシンガーとしての私をみんなに知ってもらいたいなって思ったから、とりあえずラップは置いといて〈歌でいこう!〉って決意したのね。でも、フィーチャリングではラップを頼まれたりするわけじゃん? だから、『ORIGINAL A.I.』までは、いったい何が自分らしくって自分が何をしたいのか、私自身もわかっていなかったと思うの。だけど、それが今回の『2004 A.I.』ではわかったというか、今回はトラックに対して自分がやりたいことを1曲単位で定めることができた! 今回のアルバムでめざしたのは、ジャンルは何でも良いから自分がカッコイイと思うモノ。トラック選び、メロディー、歌詞のすべてを自分で考えることによって、曲ごとのストーリーが凄く立った作品に仕上がったし、2004年の今しかできないことを綺麗な形でまとめることができたんだ」。

 そうやって選び抜かれたトラックは百花繚乱。Charによるハートウォーミングなアコギと鷺巣詩朗のドリーミーなアレンジが美しい融和を果たした“Breathe”をはじめ、フレッシュなビーツが横溢しているのだが、『ORIGINAL A.I.』がホーム・リスニング対応だったのに対し、今作にはダンスホール・レゲエに傾倒した“エンジェル”(BOY-KENをフィーチャー)や、ハービー・ハンコック“Chameleon”を彷彿とさせる超絶グルーヴィーな“WATCH OUT!”(AFRAとTUCKERをフィーチャー)など、現場対応OKのキラー・チューンも満載されているところが魅力的だ。

「そうなのよ! 『ORIGINAL A.I.』にはコーラスとメインの歌声を揃えた、ミドルテンポの楽曲が多かったんだよね。だから、聴いている分には凄く気持ち良いんだけど、いざライヴをやってみたら〈あれ!? 期待してたのは、こんな反応じゃないのにな……〉というのが実際にあったわけ。でも、ライヴをやるときに私が欲しいのは熱いノリ(笑)! だから、ミディアムやバラードでもお客さんにライヴで盛り上がってもらうために、今回は自分が喋りたいことをそのまんま歌にして、ヴォーカルもこのまんまの地声でいこう!って決めたの。そうすれば私の感情がもっと曲に反映されると思ったから」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年07月01日 17:00

更新: 2004年07月15日 16:57

ソース: 『bounce』 255号(2004/6/25)

文/金田 美穂子