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インタビュー

AI(2)

魂をマジで入れて歌う!!

 また、今回の『2004 A.I.』には聴く者を奮起させる“E.O.”に続くメッセージ・ソングが多数収録されている一方、『ORIGINAL A.I.』で〈幸せなカップル/ラヴラヴで羨ましい〉と歌っていた彼女はどこへやら、スウィートなラヴソングがリリックの大半を占めている点も興味深い。

「100%恋してんのよ! これで恋してなかったらどうするのよ(爆笑)!! ……順番としてはまず、私がある人に恋した気持ちを“100%”で書いて、その人と実際に会うようになって……(あえて中略)……で、彼とのそういうラヴラヴ具合を描いたのが“After The Rain”(笑)。でも、私が仕事で地方を回っている間とかは離れ離れになるじゃない? それで電話がこなくなったりすると寂しくて、私の場合は〈浮気だわ……〉とかって思っちゃったりするわけよ。そこで、〈ちょっとあんたどうなのよ!? ハッキリしなさいよ!〉って意味を込めて〈You gotta tell me, Please Say No, Please Say Yes/教えてよ本当の気持ちを〉という詞の“Say Yes, Say No”になって。だけど、結局は単なる私の勘違いだとわかって、〈どんなに離れてても/繋がっていることを信じて〉という“Dreaming Of You”を書いたのね(笑)。これが私のリアルなラヴストーリーの順番。で、今回のアルバムでは“最終宣告”みたいな失恋の歌を書かなくて済んだ、と(笑)」。

 そんな胸キュン・リリックを彩るメロディーも特筆もの。グレイト・デインがプロデュースを手掛けた“Dreaming Of You”のみ、もともとはブランディやトニ・ブラクストンのために彼がキープしてあったというメロディーに、AIがアレンジとアドリブを加えた作品となっているのだが、そのUS産と比較しても何ら遜色のない圧倒的なスケールの旋律を彼女が披露しているのだ。そして要はなんといっても、リスナーの胸にじわりと迫ってくる、エモーショナルなヴォーカル・ワーク。前作では聴くことのできなかった、さながらティナ・ターナーのようなアドリブが、楽曲を一大ドラマに仕立てている。

「よくぞわかってくれました!! インタヴューで〈ミッシーっぽいですね〉とか言われたりするんだけど、違うんだよ! 私のルーツはティナなんだよ!! あと、今回のレコーディングで追求したのは、綺麗に歌うことじゃなく、歌詞を思いながら魂をマジで入れて歌うこと。だから、“100%”以外のアドリブはあえて作り込まなかったんだ」。

 思い起こせば、98年頃から巻き起こった〈ジャパニーズ・R&Bブーム〉の際、ソウルフルなヴォーカルやオクターヴの音階などが実力派の条件とされていたものだが、それらを網羅しつつそこを超越した『2004 A.I.』。純粋に、感動しきり、である。

▼『2004 A.I.』に参加したアーティストの作品。

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カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年07月01日 17:00

更新: 2004年07月15日 16:57

ソース: 『bounce』 255号(2004/6/25)

文/金田 美穂子