Brandy(2)
人生のすべてを音楽に捧げたい
歌詞は収録曲の9割がブランディ自身の人生経験を描いている。「過ちを正当化せずに現実を直視して歌うことができて嬉しい」と話す彼女だが、今回は多くの歌詞をウォルター・ミルサップに依頼し、歌そのものに徹した。ただ、リード・シングルとなったのはカニエ・ウェストの作/プロデュースとなる“Talk About Our Love”。そう、「とっても特別な曲」という同曲の歌詞には、ブランディの恋愛に関する想いがもっとも強く反映されている。
「カニエはとてもいい仕事をしてくれたわ。彼は音楽に対して非常に情熱的な人よ。アリシア・キーズの“You Don't Know My Name”は大好きで、カニエに〈なぜあの曲を私に提供してくれなかったの!?〉って言ったぐらい(笑)。あの曲を聴くまでカニエはヒップホップ一筋のプロデューサーだと思っていたけど、アリシアの曲ではまったく違うタイプの曲に冒険していたのがおもしろかった。だから、カニエと組んだら凄い楽曲ができると確信していたわ」。
カニエはもう1曲、T.I.をフィーチャーした“Where You Wanna”も手掛けており、T.I.のラップも含めたこちらの出来にも満足の様子。その他、新作にはウォーリン・キャンベルやオーガナイズド・ノイズといった腕利きが関与し、ジックリ聴かせる名作に仕上がった。そして、誰よりも新作の完成を喜んでいるのは、久々に音楽シーンにカムバックしたブランディ本人である。
「もうTVの仕事や映画出演はいいから、いまはツアーに出たい。アリシア・キーズやアシャンティにも会いたいし、ビヨンセのことももっと知りたい。それにアッシャーとは昔からデュエットをしたかった。あと弟のレイ・Jとツアーに出たいし……やりたいことがいっぱい。人生のすべてを音楽に捧げたいわ。もともとすべてはそこから始まったんだから、着地点も同じでありたいの」。
偉い! この前向きな発言どおり、今回の彼女の音楽からは言いようのない清々しさを感じ取ることができる。〈歌手〉ブランディの未来は確実に明るい。
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