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インタビュー

LLOYD BANKS

G UNIT, BACK ON FIRE!!ジジジジ……Gユ~ニット!! 50セント率いる言わずと知れた最強集団が、次なる刺客を送り出してきたぞ!!

LLOYD BANKS ストリート・スタンスに立脚したタフでハードコアなライム製造機、ロイド・バンクスとはオレのことだ!!


 昨年の50セントの大ブレイクとGユニットの大成功によって、すでにロイド・バンクスはラッパーとして大きな地位と名誉を獲得したといえるだろう。だが、彼のソロ・アルバムに冠せられたタイトルは『The Hunger For More』。さらなる渇望――これ以上いったい何を望むのか。

「オレの活動が〈最高峰〉として歴史に残ることさ。死んだ後にも名前が残ること。ヒップホップだけがオレの存在理由か、生きる目標かってのは疑問だが、いいスタートだと思ってる。神がオレの人生をどう計画してるかわからねぇけど、そこへ達するためのいいスタートなのさ」。

 少なくとも昨年のGユニットの活躍だけを見ると、ロイド・バンクスのキャリアは順風満帆に見えるかもしれないが、これまでのキャリアを振り返ると常に〈渇望〉が彼の人生のモチヴェーションとなっていたのかもしれない。50セントが9発もの銃弾を食らいレコード会社が契約に難色を示すと、彼らはすぐさまストリートでの活動だけに専念した。

「オレたちのような連中にはミックステープしか曲を出す手段がなかったからさ。結局、ストリートのバックアップが強力すぎて、ラジオ局がオレらの曲をかけざるを得ない状況になったんだぜ。リクエストが殺到してさ。みんな50とGユニットの曲を聴きたがった。その時は金を稼ごうなんてちっとも思っちゃいなかった。みんなが聴いて、〈バンクスはホットだぜ〉って噂してくれりゃ満足だったのさ。そうすりゃ、オレがレコード契約をゲットする頃には、ストリートの連中はオレのラップに満足してくれてるわけだろ? ファン・ベースはできてたってことなのさ」。

 ストリートを確実にロックし、Gユニットはより大きなマーケットでも成功を収めた。そこで改めて、一人のラッパー、ロイド・バンクスとしてのさらなる名誉を手にするために作られたのが今作だとも言えそうだ。この作品でのバンクスもこれまでとは何ら変わりなく、みずからの視点で見たもの、感じたものを淡々と言葉に綴っている。50セント~Gユニットの流れを汲む、素晴らしくかっこいいストリート・スタンスの内容に仕上がっている。

「ロイド・バンクスとはどういう男かっていうことをもっとよくわかってもらいたいと思ったのさ。50のアルバムとオレのアルバムが似てる部分があるのは、オレたちは同じフッドで育ってるわけだから価値観が同じなのさ。いろんなことに対する考え方や意見も同じだけど、オレの見解を伝えたかったのさ」。

 ソロ作品を出したばかりだが、これまで同様にストリートでフリースタイルのミックステープについては、「フリースタイルをすることはフリースローをしてるのと同じ。練習になるってことさ。爪先はストリートにつけた状態で、高いレヴェルのゴールをキメるためのな。ミックステープはずっと作り続けていくぜ」と話す。

 だが、バンクスはラッパーであるだけの自分に執着はしていない。そこからさらなる高みに昇るための手段として、渇望を満たすべく、いまを全身で表現している。

「妥協は一切しない。自分の作りたいようにアルバムを作る。そういう曲が売れるからとかいう理由で作ったりはしないぜ。オレは、次のアルバムはレコーディングできねえかもしれねえってことを想定しながらこのアルバムを作ったのさ。誰もオレの明日を保証してくれねぇだろ? だからこのアルバムにいまのオレができることをすべて詰め込んだ。それをみんなに知ってもらいてえのさ。次のアルバムが作れなきゃそれでもいいと思えるくらいにな。明日生きてるかどうかさえわからないわけだからさ。オレの渇望が満たされる時は、オレの音楽だけじゃなく、キャラクターを通じてオレ自身をみんなが愛してくれるようになった時だな」。

 ストイックなマインドは、常に大きな光を求めて磨かれ続けているのだ。

▼『The Hunger For More』に参加したアーティストの作品。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年08月05日 16:00

更新: 2004年08月26日 15:59

ソース: 『bounce』 256号(2004/7/25)

文/小野沢 洋