インタビュー

THE ZOOT16(2)

やっぱりこのスタイルになる

 さて、今回の作品で重要な位置を占めているのがレゲエやスカ。なのだが、その採り入れ方ひとつをとっても、彼ならではの距離感が表れている。

   「例えば僕は、スペシャルズが『Specials』から『More Specials』を出して、スペシャルAKAになって、それからファン・ボーイ・スリーなりに分かれていったような、その感じが好きなんです。スペシャルズだけが好きな人って結構多いじゃないですか? 僕はそれがイヤなんです。もちろん僕もスペシャルズ自体は大好きだし、若いときには(ドクター・)マーチン履いたりしたし……それはそれで認めるけど、僕としてはそういうなかでいろんな音楽を聴いて成長しましたっていう証が少なからず欲しい。スカならスカで、そのシーンに就職しちゃうような感じってあるじゃないですか? そこで安心しちゃうような。それがイヤなんですよね。いつもフリーでいてほしいし……だって、ワルなのに就職しちゃってるんですよ(笑)? このアルバムもレゲエの人に言わせれば、こんなのレゲエじゃないよって言われると思うし、ロックの人からはロックじゃねぇよって言われるかもしれない。でも、それはそれでOKだし、自分で出すんだったら、やっぱりこのスタイルになる。いろんな意味でのレベルとか反動とか、そういうのも全部自分にあてはまると思うんです」。

 彼が音楽活動以外に展開しているファッション・ブランドやショップの経営、もちろんレーベル運営に関しても、そんな姿勢が基軸となっている。

「あんまり欲はないんですけどね。簡単にいうと、ラフ・トレードみたいなことを僕はずっと長くやり続けたいんですよ。そこで繋がった洋服屋さんやら、いろんなカルチャーが混ざって凝縮されたものになってれば、店の売り上げは¥0でも続ける意味はあるのかなって思ってて。単純に僕が憧れてるのが、野茂(英雄)とかさ。ああいう革命児みたいな……結果はどうであれ、常に戦っていくというか。どっかで〈ナニクソ!〉みたいなのがあるんですよね」。

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掲載: 2004年10月28日 16:00

更新: 2004年11月04日 18:28

ソース: 『bounce』 259号(2004/10/25)

文/宮内 健