白黒を、そして過去のポップスを束ねることで先鋭性を獲得した〈L.A.M.B.〉
イヴの2001年曲“Let Me Blow Ya Mind”で手合わせ済みのドクター・ドレー、そしてノー・ダウトの『Rock Steady』からの続投となるネリー・フーパーとネプチューンズが『Love. Angel. Music. Baby.』の基礎を担っているのは間違いないのだが……逆に今回初コラボとなる名前にこそ〈L.A.M.B.〉ならではのエッセンスがあると見ることも可能だ。今回そういう意味で目を惹くのは、アンドレ3000(アウトキャスト)、ダラス・オースティン、ジャム&ルイス、リンダ・ペリー、さらにはバーナード・サムナーとピーター・フック(共にニュー・オーダー)、ウェンディ&リサあたり。
確かに豪華で多彩にも思えるが、この布陣を見れば過去のさまざまな〈成功例〉に行き当たるのだ。まず思い浮かぶのは、ネプチューンズとダラス、そしてアンドレ3000が参与したケリスの『Tasty』。R&Bやロックを包括した先鋭的なポップスという点で同作は〈L.A.M.B.〉に通じる部分がかなり大きい。また、見るからにグウェンに通じているマドンナには、ダラスとフーパーを起用した優美な『Bedtime Stories』がある(ついでに言うと、フーパーはウェンディ&リサの、ダラスはフーパー肝煎りのビョークのリミックス歴アリ)。さらに、そのダラスとリンダ・ペリーが並べば、ピンク『Missundaztood』を否応なく思い出すだろう。そして、ジャム&ルイスはダラスと共にジャネット・ジャクソン『Damita Jo』でアウトキャスト風のロック曲を送り出している……。
こうしてダラダラ挙げていくと各々の感覚がすでにリンクしていたことがわかるが、より明白な共通項を挙げればここに挙げたメンツのおおよそがプリンス(『Rock Steady』にも参加)の影響下にあることなのではないか。先に述べたような白黒音楽を先鋭的なポップスの名の下に束ねる行為は、彼が常に志向してきたことである。そういう意味で〈L.A.M.B.〉の人選にはスジが通っているし、そこにグウェンの審美眼を感じずにはいられない。
▼文中に登場するアーティストの代表作を一部紹介
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2004年11月25日 16:00
更新: 2004年12月02日 16:28
ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)
文/出嶌 孝次