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インタビュー

AFRAとタッグを組んだプレフューズ73ことスコット・ヘレンって?

 ヴォーカル・チョップ!──その優れた身体能力で切り刻まれ、エディットされた声、語り。ビートと呼応する声、語り。2001年作『Vocal Studies + Uprock Narratives』で展開したそんな衝撃的スタイルにより、プレフューズ73ことスコット・ヘレンはオルタナティヴ・ヒップホップのまったく新しい形を提示し、今日のエレクトロニカ・シーンに多大な影響を与えた。だが、2003年の『One Word Extinguisher』では後のコラージュ・ミニマル・ハウスにも影響を与えたその手法を封印し、さらにメロディアスな表現力でエディットの可能性を押し広げた。また、現在はスペインのバルセロナに在住するこのアメリカ人青年の活動はどれもが興味深く、独自のセンスと革新性に満ちたものである。まず、最初期のユニットにして現在活動停止中のデラロサ&アソラ。このユニットではグリッチ&クリックな牧歌的エレクトロニカ・サウンドを展開していた。そして、アコースティックな音響エレクトロニカ作品を生み出してきたサヴァス&サヴァラス。先頃リリースされた最新作『Manana』でも前作に引き続きスペイン人女性シンガー、エヴァをフィーチャーし、スコット流サウダージともいえる内省的な歌ものサイケデリアを披露した。多くの情報に複雑な構造、深い世界観を実に明快に提示するそのプロデュースの手腕も光を放つスコット・ヘレン。今後すべての動向が注目に値する、類い稀なる才能の持ち主である。

▼スコット・ヘレンの作品を一部紹介

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年12月09日 13:00

更新: 2005年01月13日 18:05

ソース: 『bounce』 260号(2004/11/25)

文/久保 正樹

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