インタビュー

Queens Of The Stone Age

ストーナー・ロックというスタイルで孤高のバンドとなった彼らの新作『Lullabies To Paralyze』は、聴く者の思考を麻痺させる世界一危険な子守歌だ!!

俺たちは過去最高に強くなってる


 クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(以下、QOTSA)といえば、彼らに惚れ込んでいたフー・ファイターズのデイヴ・グロールが、ドラマーとして前作『Songs For The Deaf』のレコーディングとツアーに参加していたことで有名だが、このバンドの核は、ヴォーカル兼ギタリストのジョシュ・オムとベーシスト兼ヴォーカルのニック・オリヴェリだった。もともと2人は高校時代からの友人で、90年にカイアスといういまや伝説のストーナー・ロック・バンドを結成して活動していた。そのカイアスのあとにジョシュが新しく始めたのがQOTSAなのだ。ニックは遅れて98年に加わっている。知る人ぞ知るカイアスの2人がいるバンドということで最初から注目を集めていたQOTSAは、2000年の『Rated R』発表後に〈オズフェス〉にも参加、そのライヴの凄さも相まって急速にファンを増やしていった。そして2002年の『Songs For The Deaf』でゴールド・ディスクを獲得、その間他のメンバーは流動的だったが、ジョシュとニックがふたたび孤高のロック・バンドを築き上げたのだ。だが昨年2月、ニックはジョシュに解雇されるという形でバンドを脱退。その後、一時的とはいえヴォーカルを務めていたマーク・レネガンも今後QOTSAとは一緒に活動をしない、というニュースが報じられた。ファンにしてみれば、QOTSAの存続に不安を覚えてしまうような出来事だっただろう。バンドの今後にさまざまな憶測が飛び交うなか、ジョシュは『Songs For The Deaf』時からバンドに在籍しているギタリストのトロイ・ヴァン・ルーウェン(元ア・パーフェクト・サークル)と今回から加わったドラマーのジョーイ・カスティロ(元ウェイステッド・ユース)と共にレコーディングに入った。こうして出来上がったのがニュー・アルバム『Lullabies To Paralyze』である。嬉しいことに、どんな言葉で説明されるよりも、いまのQOTSAが過去最高にパワフルになったことを証明する作品になっている。

「いろいろあったけど、俺たちは過去最高に強くなってる。それをこうしてみんなに見せることができるのはエキサイティングだよね。いろんな話を耳にしただろうけど、それはただ君が耳にしたことでしかない。そして、これが俺たちが作ったものだ。周りの人間が動揺してるあいだに、俺たちはこれだけのものを作ったんだ。いい気分だよ」(ジョシュ・オム、ヴォーカル/ギター:以下同)。

 ジョシュは実に満足げに語るのだが、そうはいっても前作以上のものを作らなかったら、ニックが欠けているからだと指摘されることは必然。だからこそより強力な作品を作らなければ、というプレッシャーがあったのではないだろうか?

「俺はいつも、自分がいま立っている場所のはるか先に居たい人間なんだ。だから周囲よりも重いプレッシャーを自分自身に課すところがあって、それに比べると周りのプレッシャーは大したものではないんだよね。結構曲が出来ている時点で、〈どうやって、あの前作以上のものを作るっていうんだ?〉とか散々言われてさ、だからもう俺は〈わかった、とにかくやるよ〉って感じだったんだ。つまり、そのときにはすでにプレッシャーはなくなっていたんだ。それでさらにスタジオに入ったから、またどんどん曲が出てきた。一緒にやってるのが友達なら、なんでも凄く上手くいくんだよ。レコーディングに入る前にいくつか曲はあったけど、ジョーイとトロイと一緒にスタジオに入ってからは本当にいいケミストリーが生まれたから、さらにその場で曲を作っていったのさ。レコーディングも、終わらせたくないぐらいに楽しくて、結局5週間で終えたんだけど、アッという間だったね。だから究極に新鮮で、それでいて永遠に続くような何かがある作品が作れたんだと思う」。

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掲載: 2005年03月31日 13:00

更新: 2005年03月31日 19:18

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/鈴木 美穂