インタビュー

TOWA TEI(2)

楽しい時間はアッという間

「今時、生きていくうえで重いこと多いじゃないですか? それに対しての軽さもあるし、抜けの良さを求めたのはそこが大きかったかな。最近は詰め込み過ぎな音楽が多いんですよ。そう思いません? もう終わりかな……って思ったらまだ5曲目だったりさ(笑)。そういうなか、僕は腹八分目がいいなと。CD700MBの容量に何で全部詰め込む必要があるのかなって思うんですよ。楽しい時間って、アっという間じゃないですか。それが言いたかった。だから、実際に楽曲を短め少なめにしている部分はあるかな。1曲作るにしても、例えば2分40秒を超えるんだったら、もうひとつアイデアが必要なんじゃないかと。曲に強度を保つにはそのぐらいやらなきゃいけないと。詰め込み過ぎず、かつ希薄にならないという点でね。希薄に聴こえないとしたら、そこが効いているのかも」

――2分40秒を超えるにはもうひとつアイデアがいると。これはいつから意識されたことなんでしょうね。

「この作品を作ろうと思い立った瞬間からだから、ここ2年とかの話じゃないかな。僕ね、デビューして15年なんですけど、これまでやってきたキャリアはやっぱり自信にはなっていて、それは〈自分が夢中にやっていることだったら、誰か楽しんでくれるだろう〉っていう確信を支えているんですよ。作り手としては、そこを追求していくことが大事なんじゃないかと。例えば〈音楽で世の中を変えてやろう〉とか、〈こういうメッセージを届けたい〉とかいろいろあるわけじゃないですか。ただ、僕の場合はそういう意識はまったくなくて、人が真剣におもしろがっていれば聴き手もインスパイアされてくれるだろうという確信でやっているから」

――勉強不足から来るのかもしれないけど、それは僕の中にある〈テイ・トウワ像〉からは相反するような人間臭さですね。

「もうね、最近は買い物とかインターネットばっかりなんですよ。だからこそ、人の匂いを求めているっていうのかな……人と顔を突き合わせてやりたい感じは高まってきているんですよ。DJとかも楽しいし。日常のルーティンをインターネットに頼ることによって、人と会った時の感覚がフレッシュになってくるんです」
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掲載: 2005年04月07日 13:00

更新: 2005年04月21日 17:05

ソース: 『bounce』 263号(2005/3/25)

文/岡本 俊浩