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インタビュー

Zimbabwe Legit

奇跡!! ハリウッド・ベーシック最後の財宝がタイム・マシーンに乗って現世に甦ってきた!!


 アフリカはジンバブエ出身の兄弟ラップ・デュオ=ジンバブエ・レジット(以下ZL)。彼らのデビュー作『Brothers From The Mother』は、ニュー・スクール真っ只中の90年代初頭に全米リリースされるはずだったが、所属していたハリウッド・ベーシックの閉鎖に伴ってお蔵入りに。そんな幻のアルバムが長い時を経て、ついに陽の光を浴びることになった。まさしく〈文化遺産〉と呼ぶに相応しい作品が、である。

 濃縮された果汁のように、芳醇なサウンドを目一杯に詰め込んだ『Brothers From The Mother』。そのトラック群は、ニュー・スクール・テイストに溢れる、つまりファットでローファイだがヴィヴィッドな色模様を基調としている。それをベースにジンバブエ出身らしいアフロな楽器の音色を溶け込ませた結果、ZLは独創的なサウンド・カラーを確立。そういったトラック群に英語と母国語(ショナ語など)をナチュラルに混在させたラップを重ねていくことで、彼らは時流を超越したフレッシュさも手中に収めているのである。そして、最たる特記事項は、元レーベルメイト=DJシャドウの初(!)プロデュース曲“Shadow's Legitimate Mix”の存在だろう。6分間のメガミックスたるこの曲は、 まさしくファン垂涎の一曲だといえる。

 彼らの近況だが、ZLの片割れデュミは従兄弟とラップ・デュオ=O.U.O.を組み、相方アキムも参加した初作『Of Unknown Origin』も今年リリースした。さらにZLは、ロウ・プロデュースのカデンスが放ったソロ作『State Lines』にも参加。ニュー・スクールのヴァイブレーションを現代風に昇華するロウ・プロデュース関連作にZLの両名が顔を覗かせるとは、何とも興味深い。そもそも今回の〈文化遺産〉だって、ロウ・プロデュースと志(音楽性)を同じくするタイム・マシーンが発掘したものなのだ。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年05月26日 11:00

更新: 2005年05月26日 20:33

ソース: 『bounce』 265号(2005/5/25)

文/森 杜男