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インタビュー

トピックだらけのGユニット周辺、その動きと2005年秋冬コレクションを先行レポート!!

 本国USでは9月6日に、50セントの『The Massacre』がまたしても登場する。ただし、今回はオリジナル盤に加え、その収録21曲のプロモ・クリップが入ったDVDと、新たにGユニット入りしたモブ・ディープの客演曲が追加収録されている。Gユニット入りという話では、コケイン(イエイヨーのアルバムにも参加)、リル・スクラッピー、ゲリラ・ブラックといった面々の名前も挙げられていたが、結局、今年に入ってからGユニットに正式加入したのは、いまのところモブ・ディープとMOPのみ。R&Bシンガーのオリヴィア、コラプトやクルキッド・アイも参加した『Brainless The Prequel』をインディーで出している西海岸のラッパー=スパイダー・ロックは2004年移籍組だ。このなかからは、オリヴィアの2作目となるニュー・アルバム『Behind Closed Door』が年内のリリースを予定されている。

 逆にGユニットから追い出されたのは、ゲームだ。50に言わせれば〈忠誠心に欠けている〉というのが、その最大の理由のようだ。一度は両者の和解会見も開かれたが、記者からの質問を一切受けつけないことを条件に行われたものだったことからも明白なように、あくまでも形式的なものだった。実際、両者のビーフは収まるどころか、ゲームは会見以降、50への対抗意識を燃やし、Gユニットをモジった〈G-U-Not(ギャングスタじゃねえよ、おめえらは)〉キャンペーンに乗り出した。そして、7月にはGユニット全員とDJフーキッド、さらにはヤング・ガンズ、メンフィス・ブリークを15分にも渡って個別にディスしまくる“300 Bars And Runnin'”が発表されている。この曲をはじめとする新録音のGユニット・ディス曲を集めたゲームのミックステープ『You Know What It Is Volume 3』のジャケは、ゲームが50の生首をぶらさげて立っているという強烈なものとなった。

 そのため、ジェイダキスやファット・ジョー、ナズ&ケリスを名指しでディスした曲ということで『The Massacre』のリリース前から話題を集めていた“Piggy Bank”に端を発するビーフもやや霞んできてしまった観さえある。ジェイダとファット・ジョーは早々に反撃に出たが、ジョーの“My Fo Fo”が彼自身のアルバム『All Or Nothing』の駆動力にさえなったことは否定できないし、7月になってようやく反撃に出たナズの“MC Buriel”も来るべき新作への期待を募らせる出来となっている。また、ジェイダを中心としたD・ブロックの面々も、この数か月間に各自がGユニット・ディスを次々に発表することで、彼らの活動基盤であるミックステープ・シーンでの動きにメリハリをつけることができた。

 一方、彼らやゲームに対する50セントの出方がやや鈍かったのは、みずから主演を務めた半自伝的映画「Get Rich Or Die Tryin'」の撮影に集中していたからだろうか(その代わりと言っては何だが、『Thoughts Of A Predicate Felon』のリリースを控えたトニー・イエイヨーがすべてのビーフに関してずいぶん奮闘していた)。No.1好きの50らしく、1が4つも並んだ11月11日に全米公開予定の同作に先駆けて、すでに50の回想録「From Pieces To Weight: Once Upon A Time In Southside Queens」も書店を賑わせている。そして、映画の封切りに合わせては、当然のようにサントラもリリース……と今後の活動展開も入念に計画されているようだ。2005年を振り返った時点で、2003年に続いて〈今年も50セントの年だった〉と言わせたいのだろう。現在も〈Anger Management Tour 3〉で全米各地をツアーしているGユニットは、この夏を席巻中だ。
▼Gユニット新参メンバーの最近作を紹介。

▼反Gユニット連中の近作。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年09月15日 14:00

更新: 2005年09月29日 19:45

ソース: 『bounce』 268号(2005/8/25)

文/小林 雅明

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