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インタビュー

Dwele

伝統と革新が溶け合うデトロイトで、ソウル・ミュージックはルネッサンスを迎えた。魂のざわめきを柔らかなヴァイブに包むドゥウェレ、その第2章が開く扉とは……

愛と悲しみのソウル


「新作に取り掛かる前にずいぶんとライヴをこなしていたから、スタジオに入って作業を始める時に不思議な感じがしたほどだった。制作期間は8~9か月くらいかな。でも、ライヴをやるとオーディエンスの反応を直接感じ取ることができるから、その点を考えながら曲作りやレコーディングをするようになったね」。

 メジャー・デビュー作『Subject』から約2年ぶりとなる新作『Some Kinda...』を作り終えたドゥウェレは、まずこう話してくれた。革新と伝統が交わり合ったサウンドとテイスティーなヴォーカルが生み出す官能的なグルーヴ……前作を支配していたあのムードは、音から受けるフィーリングを反映させたポエティックな歌詞も含め、今作にもしっかりと受け継がれている。

「過去や現在の恋愛のことを歌詞にしたんだ。あと、家族のことを書いた曲もあるよ。僕のアルバムでは、必ず1曲は家族に捧げる曲を作って収録したいと思っているんだ。家族は常に僕をサポートしてくれてきている。母は誰よりも僕のことを宣伝してくれているしね(笑)。それに僕は父親の死がきっかけで音楽の道に進んだ。僕は音楽の99%がエモーションだと思っているんだけど……父親が死んだ悲しみやフラストレーションを注ぎ込むことができたのが音楽だったんだよ」。

 タイトル・トラックになった“Some Kinda...”こそ、まさに少年時代に父を亡くしたドゥウェレ自身の経験に基づいて書かれた曲である。だからと言ってアルバム全体が暗く重い雰囲気なわけではない。恋に夢中な男を描いたリード・シングル“I Think I Love U”はマイク・シティのプロデュースした陽性なナンバーだ。

「この曲はキャッチーで、最初に聴いた時からビートが気に入っていたし、リリースしてもいないのにラジオでかかるのが聴こえてくるような気がしたんだ。マイク・シティとはレーベルを介して知り合ったんだけど、アルバム全曲を自分ひとりでプロデュースするよりも他のプロデューサーを起用したほうがフィーリングも変わるだろうし、自分ひとりではやらなかっただろうということもやれるかもしれないからね」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年10月06日 12:00

更新: 2005年10月06日 20:05

ソース: 『bounce』 269号(2005/9/25)

文/林 剛

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