インタビュー

漆黒のソウルで満たされた〈Some Kinda Dwele〉な音盤たち

AMP FIDDLER 『Waltz Of A Ghetto Fly』 Genuine/PIAS(2004) 元Pファンカーの鍵盤奏者が四十路を越えて芸風を開花させた初ソロ。R&B、ファンク、ハウスの〈オレ流〉な結合がアーバン・デトロイト畢竟の微熱グルーヴを呼ぶ。タメの効いた曲運び、ほんのり塩辛いノドも味わい深い。(池谷)

CLEVELAND WATKISS 『Victory's Happy Songbook』 Infracom!(2002) ストレート・アヘッドなジャズからドラムンベースまでを歌い綴ってきたクリーヴランドの多彩な音楽性が凝縮されたソロ作。メロウで伸びやか、かつ清廉な歌声が、ジャンルレスな音に見事に溶けている。(池谷)

COLONEL RED 『Blue Eyed Blak』 People(2005) ディアンジェロの『Voodoo』にも通じる、フツフツ律動する寸止めファンク感とファルセットがクール! 西ロンの作り手たちがこぞって起用したカーネルの個性は、リクルースらと交わるドゥウェレの〈尖り〉ともリンク。(池谷)

D'NELL 『1st Magic』 BBE(2005) UK的な品の良いヒップホップ愛が滲むジャジーでハーモニックなトラック群が、エリーのヨーロピアンな美唱とベスト・マッチしたファースト・アルバム。スムース&メロウな歌世界はドゥウェレにも通じる白日夢的快感を誘う。(池谷)

ERIC ROBERSON 『The Vault Vol.1.5』 Pヴァイン(2003) ミュージックや112にも楽曲を提供するソングライター/シンガー。クラブ方面ではエロウ名義での歌声も知られる。鍵盤で練られたアレンジと美メロ、何よりソフトで甘く翳りのある歌い口は、ドゥウェレ好きにはマスト。(池谷)

FAT FREDDY'S DROP 『Based On A True Story』 Kartel(2005) ニュージーランドへ移住したリクルースはこのレゲエ/ダブ・バンドのシンガー、ジョー・デューキーをドゥウェレの後任的に自作へ招いた。決して歌い上げず、ジワジワと熱を高めてくる歌唱は品格に溢れている。(池谷)

GEORG LEVIN 『Can't Hold Back』 Sonar Kollektiv(2003) ボズ・スキャッグスも思わせるシティー・ポップ的バンド・サウンドに、ミニマルなエレクトロ色がクロス。ホロ苦くグルーヴィーなジョージのブルーアイド・ソウルをジャザノヴァ周辺の音職人が端正に聴かせる。(池谷)

KEM 『Album II』 Motown(2005) 現代デトロイトが育んだ最高のソウルマンのひとり。日本では無名ながら、ポップ・チャートでもブレイク済みの逸材である。薫り高いジャジー・ヴァイブのなかで繊細なニュアンスを重視した自作自演スタイルはドゥウェレと相通じるものだ。(狛犬)

NATHAN HAINES 『Squire For Hire』 Chilli Funk(2003) マリーナ・ショウ、リッチ・メディーナらを迎え入れ、より黒みとソウルを増した最近作。ネイサンのサックスもグッと艶めいている。ウェスト・ロンドン界隈でも群を抜いてまろやか&高品位な生ジャズが堪能できる。(池谷)

PAINTED PICTURES 『Tuxedo Sessions』 Truth Manifest(2005) スリー・チェアーズの一員、マリック・ピットマン率いる大型バンド。デトロイト・ビートダウンの心地良さを下敷きに生演奏で挑んだ今作は、同地のソウル/ジャズの分厚い血脈を見事に証明。ディープで黒い!(池谷)

PLATINUM PIED PIPERS 『Triple P』 Ubiquity(2005) 中心人物のワジードはスラム・ヴィレッジの創立メンバーでドゥウェレとの共演歴もアリ。J・ディラら周辺人脈に加え、サーラーやスペイセックも乗り入れたこの初アルバムではヒップホップ/R&Bの超ハイブリッド化を推進。(池谷)


SPACEK 『Curvatia』 Island Blue/Island(2001) ギリギリまで削ぎ落とされた突然変異的軟体ビーツはJ・ディラ以降ならではの大収穫。そこに、スティーヴ・スペイセックの震えまくる恍惚シングが被さるエロさときたら……。寄せては返す官能の波に浸り込める初作。(池谷)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年10月06日 12:00

更新: 2005年10月06日 20:05

ソース: 『bounce』 269号(2005/9/25)

文/池谷 修一、狛犬

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