Trina(2)
すべて自分でコントロールしてる
「デビューした頃っていろんなことがわかってなくて、なりゆき任せになってしまいがちよね。でも、もっと成熟したし、いまではビジネスのこともわかるようになった。自分が何をやりたくて何をやりたくないのか、しっかり判断できるようになったわ。だから、過去の作品と今作との違いは私が進化していることだと思う。いまはより明確に方向性を自分で打ち出せているしね。リリックでも、ただセックスやお金、宝石とか自分の持ち物について語ってるわけじゃない。私はたくさんの創造性をこのアルバムに注いでいるの」。
外見のみならず内面でも、トリーナはひとりの自立した女性として大きなステップ・アップを遂げた。クリエイティヴ・コントロールという面でもイニシアティヴを握り、同性との繋がりに対しても意識的になっているようだ。
「アーティストと呼べる女の子はほんの一握りしかいなくて、この業界にいる女性の間には友情や繋がりが十分にあるとは言えないの。お互いを助け合う必要があると思うのよね。男がラップを通じて〈誰々のオフクロさんを撃ち殺す〉みたいに言って暴力を増長させても何も言われないけど、女が何かを口にすれば途端に批判される。だから女たちはもう少し寄り合って、男たちが稼いでいるのと同じくらい成功できるようにならなきゃって思う」。
どうやらリスナーはこれまでのトリーナに対する偏ったイメージを捨てなければならない時が来たようだ。それだけ今作の『Glamorest Life』は素晴らしい仕上がりになっているし、今作でトリーナの評価は
さらに高まることになるだろう。
「私はこの業界の女性でも仕事をしているほうだと思うの。そしてそのことを人は尊重してくれている。確かにセックス・アピールが大きな部分を占めているけど、そこにはひとりの人間としての私のイメージとセックス・アピールとが混ざり合っているの。つまり、それが私の強烈なアティテュードってことかしらね」。
▼『Glamorest Life』に参加したシンガーの作品を一部紹介。
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2005年10月27日 17:00
更新: 2005年10月27日 17:26
ソース: 『bounce』 270号(2005/10/25)
文/高橋 荒太郎