TERIYAKI BOYZ(3)
トラックを完食しちゃった感じ
――みんなそれぞれのプロジェクトを抱えてるし、ここでガス抜きをやるという選択肢もあったと思うんですね。でも出来上がった作品は、凄いトラックに対して〈俺らは負けないぞ〉っていう、アーティストとしてのプライドや欲望が凄く出てると思うんです。
RYO-Z「そうですね。もともとみんなプロフェッショナルなところがあるし。パブリック・イメージ的にはフレンドリーだったり、ガツガツ行くようなヴィジュアルでもないですけど、やっぱりみんなプロとして一線でやってるから。………あと、スタジオ入る時にみんな輝くっていうかね。たとえばWISEがちょっとヤバいリリック書いてきたら、〈ちょっとヤベぇ、俺ももっとおもしろいの書かねぇと!〉みたいにラッパー的なエゴが出てきて。それがいいんすよね。いい意味で切磋琢磨が曲に出てますよね。それにNIGOさんが、日に日に僕らの理解の領域を超えるくらいにスケールをデカくしていっちゃうんで、それにプレッシャーを感じて(笑)。〈これはテキトーな感じにはできねえな〉と(笑)」
NIGO「でもある意味ちょっと実験的で、そこがいいんですよね。僕的には、〈日本人でもこういうことができるようになった〉と示せた作品なんで」
――外国に出て行って、向こうのヒップホップと渡り合っている日本人たちはいるんだけど、このグループはみんな日本で活動をしていて、日本に外国の音を持ってきた。そのプロセスそのものが実は新しいやり方なんですよね。本場のもの(トラック)を日本に持ってくるということは、ある意味どこかみんな腰が引けてたアプローチだと思うから。
NIGO「そうですね。で、今度はこのアルバムを向こうに持っていければ凄くおもしろいと思うんですけど。……あとは日本人がどこまでこの素晴らしさを理解できるかっていう。それは数字としてでしか答えは出てこないと思うんですけど、その反応は結構楽しみですね。トラック自体は全部別の人間が作っているから統一感がないんだけど、でもなぜか統一感が取れてるんですよね。4人が異なる食材、つまりトラックにテリヤキソースをかけて完食しちゃった感じです」
日本語のラップが海外のトラックと混じり合うとこんなにも表情豊かになるなんて、誰も知らなかったネオ・エクスタシー。窮屈な部屋に気持ちを追い込み、勝手な物差しで何でも計ろうとする世界に対し、時に怒りをぶつけ、時に笑い飛ばす自由なメッセージこそがヒップホップだ。そんなヒップホップのダイナミズムを、TERIYAKI BOYZは最前線で〈あっかんべー〉しながら披露している。
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