インタビュー

The Darkness(2)

ロック・スターはキッズのお手本!?

 しかし、いまやすっかりロック・スターとなった彼らが、ロック・スターならではの数々のトラブルに直面したのも事実。極度の疲労、プレッシャー、神経衰弱、パラノイア、仲違い、そしてついには脱退劇。オリジナル・メンバーのフランキー・ポーレインが脱退し、新作ではギターのダン・ホーキンスの元ギター・テックをしていたリッチーが加入した。

「バンド内で、俺か、ヤツか、という状況になってしまったからさ(笑)。つまるところ、自分が有名になったことにヤツはうまく対処できないでいた。金に毒されてしまったのさ。それにヤツの態度っていうのも否定的なものだったしね。ヤツのせいで俺たちに関することすべてが台無しになっちまっていた。プレイも最悪だったし。だからリッチーに加入してもらったんだ。リッチーは演奏も上手いし、とてもいいヤツさ」(ジャスティン)。

 レコーディング中のロックンロール的ハプニングに関しては、まずはリッチーがこんな優等生的回答を示してくれる。

「いまはそんなことやってらんない時代だぜ。レッド・ツェッペリンやモトリー・クルーといった80年代のバンドだったら、そういう話も耳にするけど、いまはもうそういったことは許されないんだ。最近のロック・バンドはキッズのお手本みたいな存在であることが要求される。昔はそうじゃなかったけどね。みんなバンドに対して派手な生活をしている人々っていうのを期待していたけど、いまでは尊敬できるお手本なのさ」。

 でも、それを受けたジャスティンのコメントはやや意味深。

「70~80年代のバンドだって、自分たちのやってることをペラペラ話してたとは思わないな。後になってからバイオ本とかで楽しい想い出として過去を振り返って喋っているんだと思うよ。ドラッグやって、ロックンロール・ライフを謳歌してるなんて話をするヤツは、どうしようもないアホか、ピート・ドハーティか、それともその両方さ」。

 最後に、今回のダークネスの写真を見て〈あのキャット・スーツはどうしたの?〉と訝っている人も多いかと思うのだが、オフではもう着ないのだとか。というのも、あのキャット・スーツにこそ神聖なるダークネス・サウンドの秘密は隠されていて……というのは筆者の勝手な妄想だが。でも、ご安心あれ。コンサートではちゃんとあのコスチュームを着てパフォームしてくれるそうだ。

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掲載: 2005年12月08日 17:00

更新: 2005年12月15日 19:05

ソース: 『bounce』 271号(2005/11/25)

文/村上 ひさし