インタビュー

PEEPING TOM

マイク・パットン、大いに歌う! シーンきっての奇人による次なる一手は、驚きの〈ポップ・アルバム〉!?


 マイク・パットンを一躍有名にしたのはフェイス・ノー・モアへの参加であるが、現在の彼はファントマスでの活動、数々のアーティストとのコラボ(最新コラボ作品はエクセキューショナーズとの『General Patton Vs. The X-Ecutioners』)などで前衛的な音を追求し、凄みは増す一方。というより、音楽シーン広かれど、この人ほどワン&オンリーの天才であり鬼才(!?)はいないはず。そんな将軍パットン様が今回はなんとピーピング・トムのファースト・アルバム『Peeping Tom』で、シンガーとして本気で歌いまくっているというのだ!

「この作品は、最初に構想を立ててから完成させるまでに6年間も費やしたんだ。いままで作ってきたアルバムの中で、仕上げるのがいちばん大変なアルバムだったね」。

 それもそのはず、今作はさまざまなアーティストとのコラボによるアルバムなのだから。その話は別枠に譲るとして、驚きなのは今作のテーマ。意外にも〈ポップ〉だとか!

「あらゆるカテゴリー分け、ジャンル分けは意味がない、嫌いだよ。だから〈大衆的なポップ〉というのがどのようなものを指してるのかも、音楽を作るときには考えない。ピーピング・トムを〈ニュー・メタル〉って呼びたければそれもいいんじゃないの? ただ言えることは、例えばファントマスのそれよりもピーピング・トムの音楽はヴァースがあってコーラスがあって、という意味で構造的にポップ的だとは思うよ」。

 なるほど。でも、なぜ今回はファントマスとは真逆とも言える〈ポップ〉なアルバムを作ろうとしたのだろうか?

「すべては作った音楽に導かれるがままってこと。で、今回の音楽は〈俺がいままで作ってきた音楽よりももっとポップ的かな〉って考えたんだ。だからそれに沿ってやってみた。でももっと広い観点で見てみれば、これって一般的にポップな音楽じゃないよ。だってケリー・クラークソンのファンにはちっとも楽しめないと思うからね」。

 とはいえ、将軍様が稀代のヴォーカリストであることは十分証明されてますよ!
▼2005年にリリースされたマイク・パットンの関連作品を紹介。

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掲載: 2006年06月08日 17:00

更新: 2006年06月08日 20:02

ソース: 『bounce』 276号(2006/5/25)

文/池田 義昭