インタビュー

Gnarls Barkley(2)

ナールズもツアーに行くよ

 まあ、それはそれでいいとして。ナールズ・バークレーという名前はどこから来たのだろう?

「言葉遊びだよ。NBAの有名なバスケ選手で、チャールズ・バークレーっていたよね? 彼の名前と掛けているんだ。耳慣れた響きなのにユニークだろ? それに、文字にしてみるとクールな感じだ。英語圏以外の国では、〈どうやって発音するの?〉っていう興味も惹けると思ってね」。

 なぜか自分のことのように答えてしまっているが……同様に『St. Elsewhere』というアルバム・タイトルは、映画の「セント・エルモス・ファイア」に掛けたのかと思いきや、80年代に流行ったTVドラマのタイトルなのだという。

「えー、タイトルはナールズが考え出したんじゃなくて、シー・ローが思いついたんだ。アルバムを聴いていると、どこか他の場所に連れていかれるような感じがするから、このタイトルになった。シー・ローは映画好きでね。たぶんナールズも映画オタクなんじゃないの? ヤツといっしょに映画に行ったことはないけど(笑)」。

 また、サウンド面についてはこのような〈感想〉を持っているそうだ。

「冒険的なところが凄く気に入っているんだ。〈冒険しよう!〉という気概というか……予測不能な感じがあるだろ。それと同時にメロディックなところも好きだね」。

 曲名まんまの“Go Go Gadget Gospel”で賑々しく幕を開ける『St. Elsewhere』は、どこを切っても危険鼠なガチャガチャしたトラックに圧巻のシー・ロー節が響き渡る、濃厚でエキセントリックな怪作である。アルバムのコンセプトについてナールズは何か決めていたのだろうか?

「俺の知る限り、特に決まったテーマはなかったと思うよ。さまざまな考えから各々の曲が生まれていった感じだったね。ナールズとシー・ローと俺がいっしょにアルバム一枚を作り上げたってこと自体がコンセプトかな」。

 なお、デンジャー・マウス自身のアルバムについては、「いまのところ予定はない。恐らくアルバムを作ってもリリースする頃になったらまた自分のサウンドが変わっていて、やり直したくなったりするだろうし……」とのこと。一方、ナールズの今後についてはなぜか饒舌にプランを語りはじめる。

「ナールズは精力的にツアーをやるよ。俺とシー・ローをあちこちに送り出してね。ナールズが観客の前に出るかどうかはわからないけど、ヤツもツアーには同行するから、俺たちといっしょにいる。〈フジロック〉にも出演する予定だよ。それに、2枚目のアルバムも出るんじゃない? しかも、そんなに間を空けずにね」。

 楽屋にでもいるのかしら。それにしても、ナールズの歌声ってシー・ローに似ている気がするんだけど……どう思う?

「ええと、そりゃシー・ローは……ナールズは友達だから……お互いに影響を与え合ってるんじゃないかな?」。

 ああ、そうだと思ったよ。

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掲載: 2006年07月06日 23:00

ソース: 『bounce』 277号(2006/6/25)

文/出嶌 孝次