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インタビュー

アンタイっていったい何だい? その1


〈LA最後のボヘミアン〉ことトム・ウェイツの99年作『Mule Variations』を皮切りに、ジョー・ストラマー、マール・ハガード、ダニエル・ラノワ、ブラッカリシャス……と、音楽ジャンル的には脈絡がなさそうだが、みずからの姿勢や理念を貫く気骨たっぷりのアーティスト作品をリリースしてきたインディー・レーベル、アンタイ。バッド・レリジョンのブレット・ガーヴィッツが主宰するエピタフ傘下のこのレーベルは、上で紹介しているマイケル・フランティに加えて、21世紀アメリカーナ音楽最大のホープ=ニーコ・ケースまでもが移籍。ますます目が離せない存在となった。そのニーコのニュー・アルバム『Fox Confessor Bri-ngs The Flood』は、KD・ラングをさらに肉感的に、そして彫りを深くしたような歌声とロック的なダイナミズムを備えたオルタナ・カントリー・サウンドが輝きを放つ傑作だ。パッツィー・クラインに憧れているという彼女が運んでくれるアメリカーナの風は、決して〈退屈で保守的なカントリー〉というイメージに収まるものではなく、物凄く官能的で躍動的だ。ぜひ一聴をオススメしたい。
(鈴木智彦)

TOM WAITS 『Mule Variations』 (1999)

  アンタイの第1弾アーティストは、この〈午前3時の酔いどれ詩人〉。 唯一無二のアヴァンギャルド&ハードボイルド歌唱によって構築された猥雑と郷愁の世界が美しい、レーベル最初の名盤!(北爪)

JOE STRUMMER & THE MESCALEROS 『X-Ray Style』 (1999)

  元クラッシュの偉大なるパンク兄貴の現役作を出せたことは、アンタイにとっても誇りに違いない。 魂焦げつく兄貴流レベル・ミュージックの快作だ。(北爪)

BUJU BANTON 『Unchained Spirit』 (2000)

  レベルなレゲエ・ミュージックを世界に向けて発信し続ける彼が、唯一アンタイに残した作品。その精神性の高さは、マイケル・フランティとも共通する。心ある歌に魂を震わせろ!(山西)

MARLE HAGGARD 『Roots Vol.1』 (2001)

  アウトロー丸出しの佇まいがカントリーという枠を超えて支持されている彼。ルーツ回帰をしてみせた今作は、レフティ・フリッゼルやハンク・ウィリアムスの激渋カヴァーを収録。(山西)

DANIEL LANOIS 『Shine』 (2002)

  10年ぶり3枚目となるアルバム。プロデューサーとしての彼しか知らない人は、ここで描かれているシンプルな世界観に驚かされるはずだ。ボノをはじめゲストは派手だが、音はとことん慎ましい。(山西)

THE LOCUST 『Plague Soundscape』 (2003)

  サンディエゴ発のしょうもないほどに速い!短い!やかましい!突然変異的電気ハードコア・イナゴ軍団を、アンタイが放っておくわけもなく……。当然レーベルきっての変態児。(北爪)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年10月12日 10:00

更新: 2006年10月12日 19:49

ソース: 『bounce』 280号(2006/9/25)

文/鈴木 智彦 ディスクガイド/北爪 啓之、山西 絵美