インタビュー

Michael Franti & Spearhead(2)

いろんな文化が混ざり合って

――ところで、マヌー・チャオという音楽家をご存知ですか? かねてからマヌーとあなたの音楽には本当に共通点が多いと思っていました。

「彼のコンサートは何度も観ているよ。大好きなアーティストだ。言葉で説明するのは難しいけど、彼のサウンドにはレゲエやロック、エレクトロニック・ミュージック、トラディショナル・ラテンと物凄くいろんな音楽からの影響が滲み出ている。彼のメッセージはインターナショナルで、特定の国に向けられたものではなく、世界全体に向けられたものなんだよ」

――スライ&ザ・ファミリー・ストーンを生んだサンフランシスコが、マイケル・フランティという音楽家を生んだということを、単なる偶然のようには思えないのですが……

「サンフランシスコはとてもユニークなところなんだ。いろんな文化が混ざり合っている都市だからね。人間が凄く密集している地域で、そこに住む人々はあらゆるタイプの人と共存することを学ばないといけない。そのことが、音楽を含めたサンフランシスコに存在するすべてのアートの特色としても出ているんじゃないかな」

 マイケル・フランティの音楽はメッセージの面だけでなく、サウンド的な部分でも〈開かれた精神〉〈閉じていない心〉を反映している。そのさまざまなジャンルを採り込んで融和した、美しくてしなやかな混血音楽は今回もまた限りなく魅力的だ。サンフランシスコをベースに活動し続けているということは、その音楽の基本精神を彼がずっと維持し続けていることの証でもあると思う。

 いまでは5万人もの聴衆を集めるほどの規模にまでなっているという、彼が主催するサンフランシスコのフリー・コンサート〈パワー・トゥ・ザ・ピースフル〉のこと(いつか必ず観てみたいね。日本でも実現してほしい!)をはじめ、熱心に誠実に語ってくれたいろいろな事柄の多くを、残念ながら文字数の関係で記すことができない。いつか機会があれば、そのことも含めて書ければと思う。10月には待望の来日公演も決定しているので、これを機に彼のポジティヴ・ミュージックをぜひ生で体験していただきたい。

▼マイケル・フランティ・アンド・スピアヘッドが参加している作品を紹介

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年10月12日 10:00

更新: 2006年10月12日 19:49

ソース: 『bounce』 280号(2006/9/25)

文/鈴木 智彦