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インタビュー

Will I Am(2)

ダンス・アルバムだから

 全体のサウンドは実に多彩。流石にウィルの引き出しは多い。彼がロンドンをはじめとするヨーロッパで多く接したというファンキー・ハウスからの影響も色濃い。ただ、ウィルとマイケルの絡みを知ったうえで“The Donque Song”のドラムスを聴くと、これは“Billy Jean”のドラムラインを換骨奪胎してスピードアップしたものにも思えてくる。その“The Donque Song”は、唯一のゲストともいえるスヌープ・ドッグをフィーチャーした曲だ。

「スヌープはあえてひとつの楽器のように扱いたかった。典型的な共演じゃなくてね。あくまでもこれはダンス・アルバムだから。彼がこうしたことをするのは珍しいと思う。あと、“Make It Funky”は伝統的なブラジルのファンキー・ドラムを元にしている。それで6本のプロモ・クリップをリオデジャネイロで作ったんだ。男女が別れたり、ヨリを戻したりっていう、ちょっとした短編映画みたいなものになっている。なぜリオかといえば、僕はブラジル出身じゃないけど、自分の性格がどこの国の人にいちばん近いかと考えるとブラジルだと思うからかな」。

そう語る彼は、実はもう1枚のソロ作もすでに完成させているという。そちらはバリバリにラッパーとしてのエゴを爆発させたもので、ナズやゲーム、アイス・キューブ、スリック・リック、Q・ティップ、コモン、カニエ・ウェストらをフィーチャーし、タイトルも『Black Einstein』と決め込んでいるそうだ。ところで、あれこれ女性についての話を訊くうちに、彼の母親がどんな人なのか訊いてみたくなった。

「いや、ママがベストだよ(笑)。僕は彼女ひとりに育てられたから。4人の兄妹がいるけど、若くして養子を迎えたりしてて、いま3~4歳の子もいるよ。全部で8人、みんなをママがひとりで育てた。母にはウチ(ニュアンス的に孤児院的なものかも)を買ってあげたんだ。ママが子供たちを育てて、僕が稼ぐ。だから、この仕事をしているんだよ」。

その母にしてこの子あり。いいヤツだなぁ、ウィル。
▼ブラック・アイド・ピーズの作品。

▼ウィル・アイ・アムがプロデュースやソングライティングで関わった作品。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年10月04日 16:00

更新: 2007年10月04日 17:17

ソース: 『bounce』 291号(2007/9/25)

文/高橋 道彦