勢力範囲をゆらゆらと拡張しつづける帝国の最近の動向
2005年に、イビツで奇抜でスカスカなサウンドとキレッキレな歌詞によって、前人未踏の日本語ロックを創造した大傑作『Sweet Spot』(ソニー)をリリースしたゆらゆら帝国。その後発表されたセルフ・リミックスの12インチ“SOFT DEATH”が、国内外のハウス/テクノDJたちにこぞってヘヴィー・プレイされるなどクラブ・シーンからも熱い支持を受けはじめる。上述の2枚はUSでもリリースされて、NYでのライヴも敢行。
ベーシストの亀川千代が参加する、海外での評価も高いサイケデリック・ノイズ・バンド=THE STARSもこの年に『Perfect Place To Hideaway』(PEDAL)を発表する。
また、石野卓球のミックスCD『A PACK TO THE FUTURE』(キューン)に、“ボタンが一つ”(2003年作『ゆらゆら帝国のめまい』に収録)がピックアップされた。
2006年に入ると、坂本慎太郎が書き下ろし曲を提供した新人グラム・ロック・バンド、ヤング・パリジャンの『ヤングパリジャンその華麗なる世界』(TIME BOMB)がリリースされる。
ゆら帝国は、アーバンでスウィートでポップなソウル風ナンバー“つぎの夜へ”とヘヴィーな長尺サイケ“順番には逆らえない”の2曲で20分弱というシングル“つぎの夜へ”(ソニー)を発表(セルフ・リミックスによる12インチもクラブ・シーンで話題に)。2度目となるNYでのライヴも行う。
また、THA BLUE HERBのO.N.Oらとのプロジェクト=Shigam繋がりで、ドラマーの柴田一郎が参加したasaの『Fast Abstract Bass』(Jar-Beat)がリリースされる。
今年の春に初のオーストラリア・ツアーを行ったゆらゆら帝国は、7月に4曲入りのシングル“美しい”(ソニー)をリリース。『空洞です』に繋がる、歌詞もサウンドもよりシンプルでミニマルになった楽曲を収録した今作は、自己最高位となるオリコンTOP30にランクインするなどスマッシュ・ヒットを記録する。
8月にリリースされたばかりの朝生愛『カモミールのプール』(PEDAL)には、彼女のゆらゆら作品への参加に応えるかたちで坂本がサポートとして参加。
そして9月26日には、98~2003年のミディ在籍時に制作された8本のプロモ・クリップを収録した(3人のひょっとこがひたすら阿波踊りを披露する名クリップ“夜行性の生き物3匹”も収録!!)、ゆらゆら帝国初のDVD『CLIPS 1998-2003』(ミディ)がリリースされる。
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