こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

次代のソングスターは〈Exclusive〉状態? いや、俺もいるぜ!!


 若くしてデビューし、〈ネクスト・アッシャー〉と目される才能の持ち主と言えば……クリス・ブラウンの前に忘れちゃいけないシンガーがいるじゃないですか! そう、マリオくんです! 彼は86年生まれの現在21歳。2002年に15歳でデビューを飾り、その2年後にセカンド・アルバムをリリースという足取りは、奇しくも89年生まれで2005年デビュー、2007年にセカンドをリリースするクリスのピッタリ3年先を行くものだ。そのうえ、2006年にはダンス映画「ステップ・アップ」で銀幕デビューを飾っており、これまた今年「ストンプ・ザ・ヤード」に出演したクリスに一歩先んじている。愛くるしい大きな瞳も共通してるし、もちろん、音楽のほうもメインストリームのアーバンR&Bだからかなり近いと言って良い。

 とはいえ、ふたりのアーティスト性にはちょっと違いがあるのも事実だ。ビズ・マーキーのヒップホップ・クラシックをリメイクした“Just A Friend 2002”でデビューした時のマリオは確かにストリート色が強くて、プロモ・クリップでも踊っていたけれど、無名時代のニーヨが書いた“Let Me Love You”をヒットさせた頃になると、踊りより歌に重きを置く彼のスタンスがはっきりしてくる。先に触れた「ステップ・アップ」でも、役柄はダンサーではなくミュージシャンをめざす学生だったり。最新アルバム『Go』では、スターゲイトによる“Let Me Love You”路線の“How Do I Breathe”や、シアラの“Promise”を思わせるポロウ・ダ・ドン制作の“Crying Out For Me”といったミッド系はもちろん、ファレルによる“Go”のようなアップも自慢のノドで完璧に歌いこなす。しっかり歌い込んでいるのにしつこくないのがマリオの持ち味だ。アッシャーのダンス面を受け継ぐのがクリスなら、ヴォーカル面重視で突っ走るのがこのマリオって感じで、ホントにホントに巧いシンガーなのである。

▼マリオの作品。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年12月06日 20:00

ソース: 『bounce』 293号(2007/11/25)

文/荘 治虫