インタビュー

さまざまなジャンルに飛び火したレディオヘッドの影響力

 ロック・シーンの最前線を突っ走ってきたレディオヘッドが、後進のロック・バンドに与えた影響力は絶大だ。しかしながら、彼らの音作りからインスピレーションを受けたアーティストはロック村以外にも多数存在するわけで、ここでは各界の〈レディオヘッズ〉を紹介していこう。

 まずは、“Just”をファンク色に塗り替えたマーク・ロンソン。彼が放ったUKロック・メインのカヴァー集『Version』は、同曲を発端としたものなんだとか。そんな“Just”の初出となるトリビュート盤『Exit Music:Songs With Radio Heads』も、本稿にピッタリの雑多な顔ぶれである。コズミック・ソウルで攻め立てたワジードや、アンニュイなエレクトロ・ラウンジを聴かせるマシュー・ハーバート他、RJD2やバッド・プラスらによるアクの強いカヴァーがズラリ。でもアクの強さでいったら、NYのイージー・スター軍団が『OK Computer』を丸ごとレゲエでカヴァーした『Radiodread』だって負けてない。名前からして悪ノリ臭を漂わせているが、ホレス・アンディらがヴォーカルを取る本気盤なのでスルーは禁物だ。また、カナダのジャック・ソウルは“High And Dry”をコクのある温もりソウルに大改造! さらにジョシュ・ウィンクは、“Everything In It's Right Place”をクールなディープ・ミニマルに再構築している(同曲はミックスCD『Josh Wink Profound Sounds Volume 3』で確認可能)。ラストはテクノ界の異端児、モードセレクター。最新作『Happy Birthday!』にトム・ヨークが参加しているのだが、そもそもトムからのラヴコールを受けて共演が実現したとのこと。このようにさまざまなダンス・ミュージックにインスパイアされて創作意欲を燃やすレディオヘッドが、逆にクラブ・アクトを刺激して、そして……という美しい連鎖が繰り返されているのだ。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年12月27日 22:00

ソース: 『bounce』 294号(2007/12/25)

文/山西 絵美

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