インタビュー

ラヒームと共に上昇してきた〈ネオDC〉の有望アーティストたち

 〈ネオDC〉なんて言葉があるのかは知らないが……ラヒームのブレイクとシンクロして、ワシントンDCの新たな才能たちが浮上してきているのは事実だし、高いミュージシャンシップやオールド・ソウルとヒップホップを繋ぐ感性を兼備した顔ぶれの台頭には、ルーツやジル・スコットら〈ネオ・フィリー〉の登場時を重ね合わせたくなる。その現状を見ていくと、ラヒームとの来日経験もあるW・エリントン・フェルトン(父親は元ソウル・サーチャーズの一員)やビラル・サラーム、パナシアのK・マードックらクロスローズ周辺の面々はもちろん、各々の作品で演奏しているケイアリンあたりはまず押さえておきたいところ。彼らと縁深いDC版ジル・スコット(?)=ウェイナも重要だ。彼女のようにメリーランド出身ながら隣接するDCで活動する(その逆も)人は多く、先述の名前と絡むことも多いケヴ・ブラウンやロディ・ロッド(マスパイク)を擁する注目の地下集団=ロウ・バジェット・クルーには、MCのケン・スターやサイ・ヤング、人気トラック職人のオディッシーらDC出身者も多数在籍している。そういう意味だと、DCの勢いはメリーランドの面々も含む大きなコレクティヴのなかで捉えるのが的確なのかもしれない。ともあれ今後も要注目の一群だが、なかでもラヒームとの共演歴もあるタビ・ボネイや、マーク・ロンソンのレーベルと契約したワレイといった新進MCの名前は絶対に覚えておいてほしい。〈ネオDC〉は燃えている!

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年02月14日 15:00

更新: 2008年02月14日 17:50

ソース: 『bounce』 295号(2008/1/25)

文/出嶌 孝次