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インタビュー

DJ PMX

和製ウェッサイ・シーンが隆盛を迎える以前、日本のヒップホップ黎明期からその裏側を支えてきた才人が初のソロ作を発表! オリジネイターの凄みに震えろ!!

オリジネイターという自負


 「19歳くらいの時にMAZZ & PMXってユニットを作ってクラブで演るようになったのが最初なんですけど、別にお金になるわけでもなく、MUROとかBOY-KENも参加したアナログ(“Go Yellow Go”)を90年頃に出して。それぐらいから少しずつ曲を作る仕事が増えていきましたね。そのうちにECDやRHYMESTER『オレに言わせりゃ』とかのトラックを作ることになって……」。

 そう回想するのは、いまやシーンの絶対的な信頼を得たトラックメイカーとして凄まじい量のプロデュース・ワークをこなしているDJ PMX。プロデューサーとしてはもちろん、DS455の一員として、そしてDJとして、日本における〈ウェッサイ〉オリエンテッドなシーンを長きに渡って牽引している最重要人物が、ついにソロとして初となるリーダー作を完成させた。その名も『THE ORIGINAL』!

「単純なのがいいな、と思って。日本でウェッサイ系のヒップホップをやってきたオリジネイターだって自負してるし、そのウェッサイも自分のなかで消化して、新しいオリジナルなスタイルでやってると思ってるんで、そのへんの意味も込めて。〈オリジナル〉ってわかりやすいし言いやすい(笑)。言葉にちゃんと重みもあるしね」。

 そんなオリジネイターである彼のアルバムを聴く前に、参加ゲストを見て筆者が何となくイメージしたこと……日本のヒップホップはUSよりも10年遅れているとされることが多いのだが、まさに今作は約10年前に登場したドクター・ドレーの『2001』に相当するブツなのではないか? ジワリジワリと盛り上がってきたシーンを総括すべく立ち上がった重鎮が、ただ闇雲に著名アクトを招くのではなく、近い志の仲間たちを集めて作り上げたモンスター・アルバム……そんな『2001』に匹敵する圧倒的な風格を『THE ORIGINAL』はビンビンと漂わせているのだ!

「日本でのウェッサイ・シーンの盛り上がりがドンと見せられるような感じにはしたかったですね。DSをはじめとした地方の色んなアーティストの人気が出てきているし、昨年末に出した〈LocoHAMA CRUISING〉も凄く反響があったから、出すならシーンが盛り上がってるこのタイミングだな、と思ったんですよ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年06月26日 16:00

ソース: 『bounce』 300号(2008/6/25)

文/升本 徹