インタビュー

ディスクガイド

PLIES
『The Real Testament』
 Big Gates/Slip-N-Slide/Atlantic(2007)
プライズの名を一躍知らしめたファースト・アルバム。T・ペインの歌が哀愁を倍加する“Shawty”、エイコンとキャッチーに絡む“Hypnotized”という2大ヒット以上に、色気を纏ったガラガラ声の不良フロウが描き出すドラマティックな路上感に圧倒される。傑作!
(出嶌)

RICK ROSS
『Trilla』
 Slip-N-Slide/Def Jam(2008)
近年のマイアミ~フロリダ・ムーヴメントを推進する中心人物だけあって今作でも地元の力を総結集し、なかでも成長著しいジャスティス・リーグを大抜擢。トリック・ダディやリル・ウェインとマイクを回した“Luxury Tax”もハイライトとなって、楽々と全米No.1を獲得している。
(升本)

BIRDMAN
『5★Stunna』
 Cash Money/Universal(2007)
リル・ウェインとDJカレドのブレイクで確信を得たのか、そのカレドをA&Rに迎え、マイアミ色にドップリ浸かって制作された超傑作。その最たる例となる“100 Millions”はカレドの“We The Best”を踏襲したギラつきマックスな路線で、バブリーなプロモ・クリップも含めて話題に。
(升本)

TRICK DADDY
『Back By Thug Demand』
 Slip-N-Slide/Atlantic(2006)
フロリダ人気の下地作りに90年代から貢献してきた地元のサグ王。結果的にスリップン・スライドとの手切れとなった本作では、ゴールドラッシュら地縁の新人トラックメイカーを大幅に起用して親分ぶりを見せつける。新たに設立したダンク・ライダーズでの活動も楽しみだ。
(出嶌)

TRINA
『Still Da Baddest』
 Slip-N-Slide(2008)
マイアミの、というよりもいまやヒップホップ界を代表するクイーンの最新作。毎度のように制作陣はジム・ジョンシンやゴリラ・テック、J・ロックといったフロリダ勢中心で、そのJ・ロックの手によるシンフォニックな“Single Again”でのセレブ感漂うイケイケっぷりが超キュート!
(升本)

DJ KHALED
『We The Best』
 Terror Squad/Koch(2007)
テラー・スクワッドに属するマイアミ最重要DJ/トラックメイカーの名を一気に全国区へ広めることになった豪華絢爛な2作目。“We Takin Over”をはじめとする、錚々たるメンツのマイクリレーに眼が眩みっぱなしだが、マイアミ勢によるフッド感強めな“I'm So Hood”が何より最強!
(升本)

FLO RIDA
『Mail On Sunday』
 Poe Boy/Atlantic(2008)
T・ペインをフィーチャーした“Low”でNo.1をかっさらった肉体派ラッパーだが、ヴァリエーションに富んだスキルフルなラップの格好良さは単なるパーティー野郎のものではない。地元勢の厚い援護やマイアミ・ベース古典のリメイクも含む、まさにMC名どおりの純正フロリダ盤だ。
(出嶌)

T-PAIN
『Epiphany』
 Konvict/Jive(2007)
説明不要のヒット請負人だが、プライズやフロウ・ライダー、2ピストルズと生み出した成果の大きさを見る限りでは、地縁も大事にしていることがよくわかる。大ブレイクを記録したこの2作目では、故郷のフロリダ州タラハシーに捧げたザッピーな冒頭曲などでより明快に地元色をアピール!
(出嶌)

FAT JOE
『The Elephant In The Room』
 Terror Squad(2008)
トレンドへの嗅覚鋭くフロリダ人気にいち早く乗っかって成功した前作に続き、自身のテラー・スクワッドに属するDJカレドはもちろん、クール&ドレーやプライズら同地の人脈を駆使した布陣で制作。その結晶でもある“Ain't Sayin' Nothin'”がストリート・ヒットした。
(升本)

PITBULL
『The Boatlift』
 TVT(2007)
ルークの流れを汲むマイアミ・ラップの正統後継者による3作目。クランクもマイアミ・ベースもレゲエもレゲトンもアフロ・キューバンもラテン・ポップの折衷ぶりも巧みで、さまざまな人種&音楽が行き交う地の利とクバーノという血の誇りを自然にフィードバックしたフロリダ産ならではの逸品だ。
(出嶌)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年08月21日 21:00

ソース: 『bounce』 301号(2008/7/25)

文/出嶌 孝次、升本 徹