BLOOD RAW
T.I.の熱心な誘いを断ってヤング・ジーズィのCTEと契約、そのジーズィやスリック・プラーらと組んだUSDAによる『Cold Summer』のヒットで一躍全国区の知名度を得たブラッド・ロウ(俗語で〈真実〉の意)。何だかアトランタ拠点のラッパーと勘違いされそうな経歴だが、〈Mr.フロリダ〉の異名を取る彼の活動基盤はあくまで地元のパナマシティ。みずからレーベルを興して後進の育成に勤しむなど、ローカル・シーンの活性化に積極的に取り組んでいる。そんなロウの力量については、DJドラマの人気ミックステープ・シリーズ〈Gangsta Grillz〉に抜擢された初の在フロリダ・ラッパー、という事実からも察することができると思うが、なんてったっていまをときめくATLの二枚看板が惚れ込んだ才能である。フロリダの注目すべきトラッパーはリック・ロスだけじゃないということを、アルバム『My Life: The True Testimony』は静かに証明してくれるはずだ。
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