インタビュー

注目アクトを次々に送り出すドックスとは?

  そのエヴァーグリーンなポップ職人ぶりと優しい歌い口で人気を集めているベニー・シングス、それに続いて彼が送り出したファニーフェイスのジャズ・ヴォーカリスト=ウーター・ヘメル……ときてお次がジョヴァンカなんですが、それらの作品はいずれも同じドックスというレーベルからリリースされているのです。知ってた?

オランダはアムステルダムで97年に設立されたこのレーベルは、ジャズ作品を中心に地道なリリースを重ねていたのですが、転機が訪れたのは、『Champagne People』(2003年)でデビューしていたベニーの2作目『I Love You』(2005年)がソナー・コレクティヴ経由で話題となった2005年頃。その年にはレーベルの看板バンドとも言えるニュー・クール・コレクティヴの『Trippin'』がリリースされ、オーセンティックなバンドをクラブ・ジャズ解釈して楽しむマナーが広まりつつあったことも功を奏したのでしょう。アフロビートやラテンを取り込んだ〈踊れるジャズ〉を武器に、彼らは以降も着実にリリースを重ねています。なお、同バンドのサックス奏者であるベンジャミン・ヘルマンもドックスからソロ作を出していますね。

今年に入ってからはブラジル音楽を欧州モードで聴かせるスーコ103が移籍作『After The Carnival』を出したり、このページの主役であるジョヴァンカをデビューさせたり、好調そのもののドックス。さらにさらに、来る10月にはウーターが文字どおりアットホームな雰囲気でレコーディングに臨んだライヴ盤『Live At Home』も登場! ジョヴァンカの次はこちらにも注目ってことですね。

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掲載: 2008年10月23日 21:00

ソース: 『bounce』 303号(2008/9/25)

文/出嶌 孝次