インタビュー

いま注目のロン・ブロウズって何者だ!?

 昨年末からジワジワとヒットし、ジムの新作『Pray IV Reign』の景気づけになった“Pop Champagne”。その立役者がロン・ブロウズであることは本文でも触れられている通りだが、彼があの〈ハーレムズ・ファイネスト〉こと故ビッグLの名曲“Ebonics”で世に出てきたことはさほど知られていないかもしれない。ロン・ブロウズの拠点はハーレム。ビッグL仕事の後、ナズによるジェイ・Zへのディス・チューン“Ether”(ロンのプロダクション名はこの曲にちなんだイーザー・ボーイである)を手掛け、以降もファット・ジョーやDMX、リル・キム、リュダクリス、スヌープらにビートを提供しているが、そこで彼自身の名前が大きくなるような事態には至らなかった。

 彼の名がエスタブリッシュされたのは、ロイド・バンクスやトニー・イエイヨーの制作を前フリに、50セントの“I'll Whip Ya Head Boy”を手掛けてからだろう。こうしたGユニットとの縁は彼らの近作における“Straight Outta Southside”まで継続中だが、そこである程度名を売ったロンは地元の新進ウェブスターや、R&Bシンガーのオーシーもプロデュース。特に後者のアルバムでは5曲を担当して深く関わっている。オーシーは現在ジム・ジョーンズのお抱えシンガー化しているわけで、ロンとジムの間を取り持つ役割も果たしたのかもしれない。

 一昨年から昨年にかけてはカシスやルミディー、キラー・マイクらを手掛けながら、ジェイダキスや故スタック・バンドルズらを招集して、自身の『Ron Browz Presents The Wonder Years』を発表。ほぼ無視されているチーム・ブラックアウトの“J5 On 'Em”も良曲だった。で、昨年後半からT・ペイン化を進めている彼は、“Pop Champagne”やバスタ・ライムズの“Arab Money”、CNNの“Rotate”といった話題曲を次々に送り出している真っ只中だ。バウ・ワウの“What They Call Me”にフックの歌のみで招かれていたりもするが、そのまだ見ぬポテンシャルはこの後に登場するロン自身のメジャー・デビュー作であきらかになるに違いない。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年05月21日 09:00

更新: 2009年05月21日 17:20

ソース: 『bounce』 309号(2009/4/25)

文/出嶌 孝次