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インタビュー

AUTOKRATZ

ケダモノの嵐! フロアを急襲したエレクトロ・マシーンは、さらなる獲物を探してより広い世界へと飛び出した!! 自信に満ち溢れた『Animal』の咆吼に震えろ!!!

こうなることはわかってたよ

  「俺たちはクラブの外で起こった乱闘で知り合ったんだ。俺はその時かなり気持ちが悪くてさ、終いにはヒステリックになって、何の関係もない傍観者の真新しい靴にゲロを吐いてしまった。それがデヴィッドだったんだよ。その後、彼はもちろん拳を上げて乱闘に参加してきた。俺のディーヴォのTシャツに彼が気付いて落ち着くまで、俺はずっと気を張って立ちすくんでいたんだ。それから俺たちは音楽について話をして、実は互いの好みがよく似てることを知ったんだ」(ラッセル・クランク、ギター/マシーン)。

 ひょんなことがきっかけになり、コンビ結成となったオートクラッツ。結成後はトントン拍子にすべてが運び、2007年にキツネからデビュー・シングル『1000 Things/Last Show』を発表してからわずか2年余りの間で、誰もが驚き、羨むだろう出来事──リリースした4枚のシングルがすべてヒットを記録し、ピート・トンやティガ、デジタリズムらにヘヴィー・プレイされ、さらにはアンダーワールドやカザルス、ラ・ルーらのリミックスを手掛け、そしてハイエナジーなライヴ・パフォーマンスで世界中を熱狂の渦に叩き込んだ──が目まぐるしく巻き起こっている。しかし当事者2人の口ぶりは、それらのスペシャルな成果もあたりまえと言わんばかりだ。

 「初めからわかってたよ。俺たちの作る音楽が、俺たち自身を興奮させるものであると同時に、人々が素晴らしいと思えるようなものだってことをね」(ラッセル)。

 「凄く良い気分だね。曲を書きたい欲望と書かなきゃならない必要性がたくさんの量のトラックを生み出したんだ。一週間も曲を書かないなんてことになったら、俺は落ち着いてられなくなるんだ」(デヴィッド・コックス、ヴォーカル/マシーン/ギター)。

 そのように創作意欲を漲らせた2人が10か月ほどかけて完成させた待望のファースト・アルバム『Animal』は、ビキビキとシンセが唸りを上げ、ドスドスとヘヴィーなキックが打ち鳴らされるだけの形骸化したエレクトロ(と括られる音楽)とは一線を画し、スウィートでキャッチーなメロディーラインを活かしてポップ・ミュージックの可能性を追求した作りになっている。その証拠に、憂いのある歌が響くメランコリックな“Always More”や先述の“Last Show”、陰りのあるトーンとポップなテイストを同居させた“Speak In Silence”といった曲には、80年代のエレクトロ・ポップ/ニューウェイヴ・バンドたちの影がちらつき、彼らの新しい一面を見ることもできるだろう。

 「よくわからないな。俺はいつも、自分たちがいったい何に影響を受けているのか、最後までわからないんだ。誰かに指摘されるまで気がつかないことなんてしょっちゅうさ。ニュー・オーダーやデペッシュ・モードのファンであることに間違いはないから、知らず知らずのうちに影響を受けていても驚きはしないけどね」(デヴィッド)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年06月03日 17:00

更新: 2009年06月03日 17:20

ソース: 『bounce』 310号(2009/5/25)

文/青木正之