インタビュー

マックスウェルの名作群……寡作なれど駄作ナシ!

『Maxwell's Urban Hang Suite』 Columbia(1996)
確固たる自意識と高いクリエイティヴィティーで表題通りの組曲感や物語性を包み込んだ、衝撃的なデビュー・アルバム。シャーデーのスチュアート・マシューマンやPMらの尽力もあって、エロティシズムがとりとめなく溢れ出すような空気感が全体をセクシャルに貫いている。こういうものを真にアーバンと呼びたい。

『MTV Unplugged EP』 Columbia(1997)
デビューからすぐに出演した人気番組におけるアンプラグド・セットを収めたライヴ盤。クールな熱気に満ちた歌唱で代表曲をパフォーマンスするのはもちろんとして、ナイン・インチ・ネイルズの“Closer”やケイト・ブッシュの名曲“This Woman's Work”といったカヴァーのチョイスは規格外の個性をアピールすることに。

『Embrya』 Columbia(1998)
引き続きスチュアート・マシューマンとガッチリ組んで、より精神性の高い方向をめざした2枚目のオリジナル・アルバム。前作のとりとめのなさが少し後退し、ヴァイブ&グルーヴよりも比較的ソング・オリエンテッドな色調を強めてバランスが良くなったようにも思える。総じて70年代ソウルへのトリビュート的な側面も窺わせる秀作に仕上がった。

『Now』  Columbia(2001)
サントラ『Life』において歌ったR・ケリー制作の“Fortunate”が大ヒットを記録し、ヴォーカリストとしての評価を高めたうえでリリースしたサード・アルバム。屈指の名曲“Lifetime”やスタジオ版の“This Woman's Work”を収録した唯我独尊の仕上がりは、彼にキャリア初の全米1位を授けることになった。そして、この後に長い沈黙が訪れるのである。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年07月29日 18:00

更新: 2009年07月29日 18:43

ソース: 『bounce』 312号(2009/7/25)

文/狛犬

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