マックスウェルと同じヴァイブが薫ってくる古今ソウルのマスターピース
LEON WARE
『Musical Massage』 Motown(1977)
言うまでもなくマックスウェルが備えた官能性の源泉となるのは、彼のデビュー作において“Sumthin' Sumthin'”を共作していたこのメロウ大王だろう。下のマーヴィン・ゲイとのカラミも含めて、遠くて近い70年代と現代の感覚を繋ぎ合わせる重要人物だ。
ERIC BENET
『Hurricane』 Warner Bros.(2005)
マックスウェルと同時期にニュー・クラシック・ソウル界隈を盛り上げた彼。完全復調は次作を待たねばならなかったが、このピュア&フォーキーな作風にも捨て難い味がある。マックスウェルの相棒たるホッド・デヴィッドがプロデュース参加しているのもポイント。
AL GREEN
『The Very Best Of Al Green』 Hi
マックスウェルがBETアウォードにおける復帰ライヴで歌ったのはアルの“Simply Beautiful”だったという。そのへんの影響は新作にも現れていて、例えばホーンをシンプルかつ効果的に用いた“Help Somebody”は一聴してハイ・サウンドをモチーフにしたものだとわかる。
MARVIN GAYE
『Here My Dear』 Motown(1977)
本来なら『I Want You』を挙げておけばストレートだろうが、ここでは女性との別れから生まれたマックスウェルの“Pretty Wings”に倣ってこの離婚記念作品を。喜びや哀しみや怒りをもたらす女性たちはある種のソウルマンにとって永遠のミューズなのだ。
THE TONY RICH PROJECT
『Exist』 Hidden Beach(2008)
ニュー・クラシック・ソウル期はディアンジェロと双璧を成す存在だったが、以降はカントリーやブルースのフィーリングを漂わせながら気ままに活動する彼。マックスウェルがややアーシーな風情を増したことで、両者の美意識も近付いてきたように思える。
PRINCE
『The Rainbow Children』 NPG(2001)
大人数のバンドを編成してナルシシズムよりもダイナミズムを表に出したマックスウェルの新作だが、その意味で思い出されるのが殿下の本作。往時の息詰まる密室性を残しつつ、開放的な音を鳴らした雰囲気はかなり似通っている。ケイト・ブッシュ好きという共通項も。
SADE
『Lovers Rock』 Epic(2000)
マックスウェルの新作でトピックとして挙げられるのは、過去3作をサポートしていたスチュアート・マシューマンの不在もそうだ。むせ返るような空気感の後退はそうした布陣の変化と無関係ではないだろうが……この名盤以来となるシャーデーの新作が大詰めで忙しかったのか?
D'ANGELO
『The Best So Far...』 Virgin
マックスウェルには8年待たされたが、ほぼ同期でデビューしてからは常に比較対照されてきたこのDさんも世界を9年間待たせっぱなしだ。現在はJと契約して新作の録音を着々と進めているとはいうものの……『BLACKsummers'night』の絶好調ぶりにショックを受けないことを祈る。
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