CALVIN HARRIS
ベッドルームからメインストリームを魅了したメガネが、いよいよ世界を射程圏内に捉えた。準備はできてる? このフライ・アイ野郎さえいれば毎日が週末みたいだ!!
〈MySpace〉は多数派のものになった
「子供の頃に大好きだったのはジャミロクワイだね。もう本当に好きだったし、いまでも好きだよ。あとはスピン・ドクターズに夢中だった! UKで大ヒットしたシングルがあるんだけれど、それを聴いてヤバい!と思って、そのあと彼らのアルバムを全部買ったよ」。
TVCMで使用され、お茶の間でもたびたび見かけたハエ・メガネのジャケットでお馴染みのカルヴィン・ハリスは、とても無邪気に自身のリスナー体験を語ってしまう25歳の好青年だ。ただ肝心の〈音〉に関しては新人とは思えぬほど鋭いセンスを光らせるクリエイターでもある。そんな彼が鮮烈なデビューを飾ったのはわずか2年前に過ぎない。当時ウェブ上での盛り上がりを足がかりにカイリー・ミノーグの知る存在となり、いきなり彼女のプロデュースを手掛けたことには誰もが驚かされた。しかもその後、メジャー・デビュー曲“Acceptable In The 80s”、続くシングル“The Girls”と次々にヒットを飛ばし、世界的な知名度を持つプロデューサーに早々と昇り詰めている。その成功の要因となったのはマイ・ケミカル・ロマンス、リリー・アレン同様に〈MySpace〉。カルヴィンは〈MySpace〉で成功したアーティストの代名詞的な存在でもあった。
「俺にとって替え難いツールだったよ。あのツールのおかげで俺は契約できたんだから。だって、それまで8年間もずっといろんなレコード会社にデモ音源を送り続けていたのに、誰にも見向きされなかったんだぜ? それが、〈MySpace〉が誕生した直後の良いタイミングで、幸運にも振り向いてもらえることができた。〈MySpace〉に参加してからたった3か月で音楽出版社とのディールが決まるなんて、長くデモを送り続けていた俺にしてみれば、凄く奇妙なことに感じたけれどね」。
一時はセンセーションと呼ぶに相応しい現象を音楽界に巻き起こした〈MySpace〉も、最近では至極あたりまえの存在になった。もちろんいまも多くのアーティストのプロフィールや記事を見れば、アクセス数や曲の試聴回数を実績として注目度の大きさをアピールしているが、それすら単なる売り文句のひとつとして形骸化してしまった側面も否めない。そういうわけで、カルヴィン自身も恩恵に授かったことを素直に認めてはいるものの、現在は距離を置いているのだそうだ。
「〈MySpace〉はもう飽和状態だと思う。たくさんのバンドやアーティストが氾濫しすぎていて、良い音楽を見つけるのが難しくなってきた。俺自身に関しては凄く良いタイミングで発信できたけど、いまはマジョリティーのものになりすぎたね。だから最近はほとんど〈MySpace〉はやってないんだ」。
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