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インタビュー

『Ready For The Weekend』が導く、新しい週末のための音楽あれこれ

 先行カット“I'm Not Alone”の大ヒットに続き、ちょうどこの本を作っている真っ最中にもアルバム・タイトル曲の“Ready For The Weekend”が全英5位までググッと上昇してきたところだ。昨年の“Dance Wiv Me”から考えればもはや破竹の快進撃といった感じで、かつてケミカル・ブラザーズやファットボーイ・スリムらが担った〈ポップ・アピールも果たせるビッグなダンス職人〉という役割を引き受ける人が、とうとう登場したと言えるのかもしれない。実際『Ready For The Weekend』に漂うのは、スタジアムでも万人を踊らせるような90年代~2000年代のダンス・ミュージックにも通じるポップネスだ。ただ、ロック風味を採り入れることが一般化に繋がった時代とは違って、いまのカルヴィンが取り込んでいるのは、デッドマウスのようにテッキーでトランシーな雰囲気や、ティエストのスケール感、そして往年のフィルター・ハウスっぽいグルーヴといった、ゼロ年代初頭のキャッチーな要素だったりする。そこにカルヴィンも名を挙げたハーヴやフェイク・ブラッド、トドラTらのようなタフなブレイクビーツ~ゲットー・ベースも折衷されることで、電化センスもモダンに消化されているのだ。“Dance Wiv Me”をきっかけに近くなったこのあたりの音はレディ・ソヴァリンらUKラッパーの必須科目と化しているし、バンドの立場からそこに対応せんとするミイケ・スノウも含めて今後の動きに注目したい。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年08月19日 18:00

ソース: 『bounce』 313号(2009/8/25)

文/狛犬

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