インタビュー

浅井健一(2)

どんなところでも気持ち良いアルバム

 “Mad Surfer”の話が出たついでに、最近彼がサーフィンを始めたことも書いておこう。そろそろデビューから20年になろうとする円熟のロッカー精神が、常に柔軟で自由であることの証明として。

 「サーフィンは今年の5月に始めたばっかりで、“Mad Surfer”は1月ぐらいに出来た曲だから関係ないんだけどね。ブランキーのベーシストの照井(利幸)くんが2年ぐらい前からやってるから、俺もやろうって感じ。まだヘタだけど、乗れると最高。サーフィンはすごいパワーアップするよ。声がめちゃめちゃ出るようになるし、身体がめちゃんこ元気になって、気持ちも嬉しくなるしね。上手く乗れた時、帰りの車のなかは最高に幸せな感じだよ。政治も街のいろんな問題も関係ない。海に出て波待ちして、ポカーンと浮いとる時は別世界だもん。もっと上手く乗れるようになったら、楽しい日々が続くと思うよ」。

 こじつけるようだが、いまの浅井健一の音楽は聴いていて本当に楽しい。多くのリスナーにはシリアスでハードなイメージが先行しているかもしれないが、こんなに自由で伸びやかで温かい音楽は、より多くの人に届いてほしいと改めて願う。

 「誰にでも聴いてほしいし、広まってほしいね。この間、子供を送るために朝の6時半ぐらいに電車に乗ったんだけど、帰りの電車のなかでこれ(アルバム)を聴いたらね、すごい良かった。自分の歌なんだけど、流れたらいきなり世界が変わって、気持ち良かったな。だから通勤の時にもすごくいいと思うよ(笑)。どこにでも合うと思う」。

 11月からの全国ツアーは新たなバンド編成で臨む。音源とはまた違うバンド・サウンドの醍醐味をたっぷりと味わえる時間になるはずだ。

 「ドラムが椎野恭一、ベースが中條卓、バイオリンが岡村未央ちゃん。で、ギターが深沼くん。見た目は大人な感じがするかもしれんけど、サウンドはすごい弾けてる。ぜひ観に来てほしいです」。

▼『Sphinx Rose』の先行シングルを紹介。

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掲載: 2009年09月30日 18:00

ソース: 『bounce』 314号(2009/9/25)

文/宮本 英夫