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インタビュー

ベンジーのさまざまなアウトプットを示す、これまでの活動の歴史をプレイバック(その1)

【ブランキー・ジェット・シティ】
 彼を語るうえでまず出てくるのは、きっとこのバンドだろう。現在はLOSALIOSやフリクションなどで活動する中村達也(ドラムス)、ROSSOなどを経て昨年Signalsを立ち上げた照井利幸(ベース)と90年に結成。91年に『Red Guitar and the Truth』でデビューを果たす。ガレージ・ロックやロカビリー、ニューウェイヴ、そしてブルースやフォークを縦横無尽に呑み込んだサウンドと、浅井による独特の世界観を持つ歌詞、そしていかにもワルそうな風貌とぶっきらぼうな言動は、当時の若者たちに衝撃を与えた。『C.B. Jim』『ロメオの心臓』などの人気作をはじめ、計9枚のアルバムを残して2000年に解散するが、彼らが日本のロック史に残した爪痕はいまも消えない。*加藤

【SHERBETS】
 96年にパーカッションなどを含むアコースティック・プロジェクトとしてSHERBETを始動。のちに今日のバンド形態を取るSHERBETSに改名し、昨年10周年を迎えた。現メンバーは浅井と福士久美子(キーボード/コーラス)、仲田憲市(ベース)、外村公敏(ドラムス)から成り、ミディアムを中心にしたアダルトなロックを披露している。近年は新味も投入し、最新作に収録の“MAD DISCO”のリミックスを80-kidzとTHE LOWBROWSが手掛けたことも話題に。*加藤

『SIBERIA』 Sexystones/ユニバーサル(1999)
浅井のアコースティック・サイドを表出するソロ・プロジェクトかと思いきや、お尻に〈S〉が付いてバンド・スタイルへと移行した2作目。BJCにも通じる殺伐とした緊迫感が充満するロック・アルバムだが、無骨な作りによって露わになった無垢な少年性が、より鋭く、生々しく聴き手の胸に刺さる。*土田

『MAD DISCO』 Sexystones/ARIOLA JAPAN(2008)
バンド編成となって10年目を締め括った、現時点での最新作。危うげにドライヴするギターと浮遊感のあるシンセが映画的な哀愁世界へ誘う楽曲の並ぶなか、ビッグバンド風のホーン隊が華を添える“Jamaican Dream”が異色だ。マンボを土台とした場末感漂うダンス・ロックに仕上がっている。*土田

【AJICO】
 孤高の存在感を放つシンガーのUA、unkieなどで辣腕を振るう女性ベーシストのTOKIE、近年はGOMA & The Jungle Rhythm Sectionで超絶ドラミングを披露している椎野恭一――個性の塊のような構成員から成るスーパー・バンドは、浅井がUAを誘う形で2000年に結成。両者のツイン・ヴォーカルが聴ける、というだけでも悶絶モノだが、煙るようなギター・サウンドとソウルフルな歌声が哀愁たっぷりに融和する濃密なロックンロールは独自の世界を築き上げていた。翌年惜しまれつつも活動休止。*土田

『深緑』 スピードスター(2001)
このバンドが残した唯一の作品だが、なかでも初のシングル曲“波動”がやはり圧巻。熱情を巧みに抑えながら浮遊するUAの歌声と憂いを帯びたギターの旋律が徐々にうねりはじめ、抜群のテクを誇るリズム隊がインプロ的にリードするラストへ――沈み込むようなメランコリーに溺れること必至のオルタナ盤だ。*土田

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2009年09月30日 18:00

ソース: 『bounce』 314号(2009/9/25)

文/加藤 直子、鬼頭 隆生、土田 真弓