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インタビュー

『kikUUiki』に影響を与えた盤&最近のお気に入り盤を山口一郎が紹介!

 

『細野晴臣トリビュート・アルバム』(commmons:1)にはものすごく影響を受けてます。あのアルバムは細野さんがいろんな人に提供した曲を、さらにいろんな人がリアレンジすることのおもしろさが好きで。特にLITTLE CREATURESの“ハイスクールララバイ”にはすごく驚きました。これは爆笑しながらレコーディングしてたんだと思うんですよ。でもそれを曲として成立させている大人の遊び心みたいなのは細野さんの当時の気持ちといっしょな気がして。そういうおもしろさはトリビュート・アルバムや誰かのリミックスを聴くことで身につけた気がする。それから、メロディーを作るというのは感情を作ることだと思うんですが、そこで共感したのがキングス・オブ・コンヴィニエンス『Riot On An Empty Street』(Source:2)。メロディーの美しさをベースにする、という点でサカナクションに通じますね。そしてフアン・マクレーン『The Future Will Come』(DFA:3)はその80's感が斬新で、当時の日本のテクノ・ポップにダンス・ミュージックの要素が入ってたりするんですよ。音色やヴォーカルのテイスト、録り音やミックスの仕方は今回参考にさせてもらいました。特にドラムの音質を考える時にはこのアルバムをかけながら感覚をチェックしたりしましたね。

次はレコーディング中とか他の音楽を仕事としか聴けない、みたいなモードの時に僕の感情をフラットにしてくれるSAKEROCK『ホニャララ』(KAKUBARHYTHM:4)。例えば彼女と大喧嘩したとしても“老夫婦”をかけた瞬間にどうでも良くなる、みたいな。細野さんやはっぴいえんどもそうですが、こういう気持ちにさせる音楽は日本の音楽シーンで常に残ってきたと思うんです。いまの時代はSAKEROCKとか、在日ファンク『在日ファンク』(Pヴァイン:5)も。すごく素敵ですよね。むちゃくちゃ会いたいんです! あと、エンパイア・オブ・ザ・サン『Walking On A Dream』(Capitol:6)も本当におもしろい。ヴィジュアルもPVも全部ふざけてるんですけど完璧で、エンターテイメントを超えて一種のアートになってる。サウンドもめちゃめちゃ格好良くて、エフェクトの使い方はおもしろいし、80'sダンス・ミュージック的な曲にアコギを使ってたり……これは真似できない。遊び心として参考にさせてもらいます。

新作はかなりチェックするほうで、最近だとワープのコンピ『2010 From Warp Reco-rds』(Warp:7)とかズットズレテルズ『第一集』(redrec:8)を買いました。特にズレテルズは粗削りですけどすごく格好良かった。特にベースの人が天才。あれは練習して身につくものじゃないですね、人となりが出ていると思います。(談)

 

▼文中に登場した作品を紹介。

左から、コンピ『細野晴臣トリビュート・アルバム』(1)、キング・オブ・コンヴィニエンス『Riot On An Empty Street』(2)、フアン・マクレーン『The Future Will Come』(3)、SAKEROCK『ホニャララ』(4)、在日ファンク『在日ファンク』(5)、エンパイア・オブ・ザ・サン『Walking On A Dream』(6)、コンピ『2010 From Warp Records』(7)、ズットズレテルズ『第一集』(8)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2010年03月23日 19:40

更新: 2010年03月23日 19:42

ソース: bounce 319号 (2010年3月25日発行)

構成/編集部