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インタビュー

SCOOBIE DO 『MIRACLES』



ヴィンテージでありながらブランニュー! ロックとファンクとポップスの最高沸点をめざしたニュー・アルバムで、〈FUNKY4〉がキミの日常にミラクルを起こす!



SCOOBIE DO_A1



SCOOBIE DOはホーーーント!頼もしいバンドだ。2006年に立ち上げられた自前のレーベル〈CHAMP RECORDS〉の台所事情は(不況のご時世であるにも関わらず)緩やかながら右上がりらしいし、経済の根本を担っている彼らのライヴ・ステージは、誠意と情熱に満ち溢れた最上級のエンターテイメント。いつ観てもホットだし、いつ観ても楽しい。


「16年やってるから16年分の曲があるし、昔の曲はダサイからもうやめようってことがないというか、最初に出した“夕焼けのメロディー”(99年)もいまだにやり続けてるぐらいだから、自分たちも絶えずホットな感じでやれてるっていうのはあるかな。最近思うのは、ライヴも〈作品〉だろうっていう。例えば、夏にキャパの小さいライヴハウスでやるってなったら、じゃあ夏っぽい感じの曲を多めに盛り込んだりして、そこだけでしか味わえない一個の作品として聴かせようとか。だからまあ、ライヴをやってくなかで煮詰まるってことはないし、CHAMP RECORDSを始めて5年ぐらいですけど、観にきてくれる人たちも増えて、みんなもSCOOBIE DOに対して深くなってきてるから、よりいろんな曲をやれるし、ここらへんの曲もやってみようかってやってみると結構反応があったりして、そういう状況が楽しいというか、すげえ理想的だなって思ってます」(コヤマシュウ、ヴォーカル)。



完成されたポップスを作りたい

というように、SCOOBIE DOの魅力は、ロックとファンクの最高沸点〈Funk-a-lismo!〉を提唱する熱いステージ(たまに季節柄、場所柄のスペシャル・セットもありつつ)で存分に発揮されているわけだが、毎年届けられるレコーディング作品においても厚い信頼が置けるバンドだ。特に今回リリースされるニュー・アルバム『MIRACLES』は、リーダーでありソングライターのマツキタイジロウが持つポップ・マインドとソウルネスがいままでにも増して強く放たれた作品だと言える。


「モータウンみたいに完成されたポップスを作りたいなって。バンド・サウンドどうこうってことはあんまり気にせずに、曲を作ってからアレンジまでかなり自分の頭のなかで組み立てて。今回はホーンとかも含めていっぱいダビングしたいなって思ったので、ちっちゃいシンセサイザー買って、レコーディングを始める3か月ぐらい前から家でずっと鍵盤の練習をしてましたね。まあ、他人に任せるやり方もあるんだけど、やっぱり自分で作った曲のニュアンスって自分がいちばんわかってるから、できる限り自分で弾きたいなって。個人的には新たなステップというか、おもしろかったし、達成感ありますね」(マツキタイジロウ、ギター)。


バンド・サウンドのダイナミズム以上に〈聴かせる〉という点にズームインした作風は、2001年の『beach party』や2004年の『Beautiful Days』といったアルバムでもチラつかせてきたものだが、『MIRACLES』はそれら以上に徹底した印象だ。


「メジャーの後半から2作前の『SPARKLE』までは、バンド・サウンドを突き詰めてみたいっていう、そういう気持ちでやっていたんだけど、なんかまあ『SPARKLE』でひとつ納得したというか、これ以上突き詰めてもそんなに新しいものはできなさそうだなって。それよりもレコーディングでの可能性を突き詰めていきたいなっていうのが前作の『何度も恋をする』からありましたね。PEACE MUSICの中村さん(中村宗一郎。2008年の『パラサイティック・ガール』からSCOOBIE DOのミックス&マスタリング・エンジニアを務める)からも、一発録りの迫力云々じゃなくて〈聴けるモノ〉を作っていく時期なんじゃないかって、なんとなくの提案がありつつ。で、今回は思いっきりそっち方向でやろうって気持ちで臨んだ感じです。趣味性は高いんですけど、拓けているものというか、こだわりって作ってるとこはいっぱいあっても、聴くときはすごくライトに聴ける。で、ライトなんだけど、深いもの──そういうものを作りたかったんです。これをそのままライヴでやってもぜんぜん遜色ないものだと思って作ってるし、CDを再生した時に世界観がちゃんとあるもの、作品として強いものにしたいっていうのを考えてましたね」(マツキ)。



なんか、これってソウル・ミュージック!

〈聴かせる〉のはメロディーやアレンジのみならず、もちろん歌詞も。 「今回は全体的になるべくポジティヴなものを作りたいなあって。『何度も恋をする』は〈ひと夏の恋〉みたいな、中学生男子感みたいな青春期の一瞬を切り取ったようなものがテーマになってたんですけど、今回はもうちょっと深くて大きいというか、聴く時間を割かせるのに値するテーマにしようと。聴いて楽しいだけっていうのも違うと思ったし、かといってディープなだけのものもSCOOBIE DOがいま発信する音じゃないような気がして。もちろん、自分たちのルーツ的な部分は残しつつ、それでも生きていくとか、それでも次の一歩を踏み出すっていうポジティヴな成分を含ませながら、いま聴いても1年後に聴いても普遍的なテーマをどの曲でも歌いたいなって。そういうテーマを設けておけば、ライヴで歌った時におっきく響くというか、聴いてる人にダイレクトに響くかなと思って。〈がんばっていこうよ!〉って直接は言ったりしないけども、これを聴いて日々の力になるというか、日常のパートナー的なアルバムであればいいかなって。なんかその、大それたものじゃなく、常に平熱で聴けるものっていうのはめざしましたね」(マツキ)。


「最初にデモを聴いたとき、なんか、これってソウル・ミュージックだなと思ったんです。メロディーと歌詞の絡み方というか、いままでSCOOBIE DOが作ってきた曲は全曲そういう部分に則っていたと思うんだけど、今回はよりそれを強く感じたというか。このメロディーでこの言葉を歌うからワッと広がるものがある、そういうものをすごく感じて、これはなんかソウルだなと思いましたね」(コヤマ)。


「日本語で黒人音楽をやろうとするときの滑稽さみたいなのってあるじゃないですか。笑いに落とすパターンとかもあるし、英語日本語みたいな歌詞でメロディーだけでソウルっぽさを成立させてるようなものもあるし。僕はそのどっちもが嫌で、やっぱり日本語は日本語で響かせながら、ソウルのグルーヴ感に乗ったメロディーを歌うっていう……そういうものを作ることに関しては僕も結構自信がありますね。他の人はなかなかやってないし、やってるつもりでもできていないような気がするし、品を伴った下世話さというか、その絶妙なバランスで落とすっていうのが、自分が作る曲のいちばん好きなところですね。今回そこをより丁寧にやったつもりだし、そこがシュウくんの感じたソウル感に繋がってるかも知れないですね」(マツキ)。


という『MIRACLES』についての説明は、別項にてさらに続きまーす……。


▼SCOOBIE DOの作品を紹介。


左から、2007年のミニ・アルバム『トラウマティック・ガール』(CHAMP)、2008年作『パラサイティック・ガール』(CHAMP)、ベスト・アルバム『ROAD TO FUNK-A-LISMO! BEST OF SPEEDSTAR YEA RS』(スピードスター)、2009年作『SPAR KLE』(CHAMP)、2010年作『何度も恋をする』(CHAMP)


 


カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2011年10月06日 22:00

更新: 2011年10月06日 22:00

ソース: bounce336号(2011年9月25日発行)

インタヴュー・文/久保田泰平

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